ファショコン通信公式ブログ

モードとテーマの蜜月。


むかしむかしより、モードにはシーズンテーマが半ば必須である、と信じられてきました。
人間とは不思議なもので、このように、半ば当然視されてきた文化があると、
自分でも気付かないうちにその文化にとらわれてしまい、
ネチネチとテーマについて考えすぎてしまう、ということも珍しくないようです。

さて、ここで改めて考えてみましょう。
そもそもモードとはどういった性質のものだったでしょうか。

大まかにいうと、モードとは、
デザイナー(を中心とした人)の抱く何らかのイメージを、何らかの形で具現化したアイテム群を発表すること、
といった意味合いのものですね。

そうすると、何らかのイメージが何らかの形で具現化されてさえいれば良いわけですから、
特に明確にこれといったシーズンテーマなんてなくても良いのですね。
それこそ、デザイナーの思い付きをアイテムに反映しました、とかいう感じでも全く問題ありません。

また逆に、シーズンテーマとして何か明確に表現してしまった以上は、
そのイメージがアイテム群に何らかの形で具現化されていなければならない、ということでもあります。
大の大人がビジネスとしてやっていることですから、
その辺りを曖昧にしていては、子供たちに誇れる仕事はできません

ありがちな例として、シーズンテーマについてネチネチと考えすぎてしまった結果、
壮大なテーマを掲げた結構な分量のリリースをショー開始前にわざわざ配布しつつ、
いざショーが始まると、リリースに書いてある内容がこれっぽっちも反映されていないアイテムばかりが登場し、
一部の観客が度肝を抜かれる、といったようなことがありますが、
これなどはモードにおけるテーマの意味について何か思い違いをしているのではないかと思いますね。
あるいは、「いやいやポエマーやないんやからっ!」というツッコミ待ちかもしれませんが。

別段設定しなくても全く問題がないものを、敢えてわざわざ設定して自らハードルを上げるわけですから、
そのハードルを凄く高くして、自らが飛び越えられないようなものにしてしまうくらいであれば、
もっとシンプルに考えてハードルを低めに設定して美しく華麗に飛び越えてあげた方が、
作る方も見る方もストレスがなくて、双方が幸せになれるのではないでしょうか。

例えば、ストレートにシーズンテーマを「RED」と設定してみるのはどうでしょう。
これならば、ショールックのどこかしらに何かしらの赤みがかった色を放り込んでおけば良いわけですから、
シーズンテーマとアイテム群を結び付けるのはそれほど難しくないでしょう。
自分の中のパッションを色にして表現してみました、とでも言っておけばとりあえず恰好も付きます

ただ、さすがに「RED」というテーマはあまりにもシンプル過ぎて、
クリエイティビティに欠けると感じる人もいるかもしれません。
それならば、次のシーズンテーマは「ORANGE」にしてみましょう。
まだこれだけだと誰も気付かないかもしれませんが。

さらに、次シーズンに「YELLOW」としてみたらどうでしょう。
この頃になると、そろそろネットがザワつき始めるかもしれません。

次シーズンは「GREEN」です。
この辺りになると、メディアから何かしらの質問が出るかもしれません。
真面目に考えるのも面倒なので「ご想像にお任せします」とでも答えて、敢えてミステリアスにしてみましょう

で、「BLUE」と来ますね。
さすがにこの辺りになると皆さん気付きまくって、「次はINDIGOだ!」と話題になるかもしれません。

そこで、次辺りは「tinang asul」として、ささやかに抵抗してみましょう。
周囲は不意を付かれて一瞬驚くわけですが、
タガログ語で藍色の意味です、と言っておけば、
何となくなるほどとなるのではないでしょうか。

さて、どうしましょう。
ここまで6シーズン、題名は違いますが、やっていることはずっと同じです。
さすがにネタバレが激しいですし、同じことをするのも飽きてきました

そこで、この辺でいよいよ本当にテーマを替えることにしてみましょうか。
例えば「Change」などとして、
切り替えを多めにするなり、色々な着方ができるパターンにするなりして、
それまでの6シーズンのテーマの流れに変化があったという意味合いと絡めたアイテムを発表するのはどうでしょう。

いい加減ネタバレしたし飽きてきたから替えた、というのが本音でしたが、
そこはデザイナーというクリエイティヴな存在です。
何かもっともらしい理由を考えてみましょう。
「紫は皆さんの心の中にあって、虹は皆さんの胸の中に広がっている、というイメージにしてみました」
とでも言ってみましょうか。
多分、こんな感じで大きな問題は生じないと思います。

と、まぁ、ここまで色々と考えてみましたが、
要するに何が言いたいのかというと、
テーマというものは工夫次第でどうにでもなる、ということなのです。
シーズンテーマが特に思い付かなければ、特に掲げずに「好きなものを作りました」で充分だと思いますし、
逆に敢えて掲げるからには、どうにかこうにか工夫して、
テーマとアイテムをキチンと有機的かつコンセプチュアルにまとめ上げるべきなのです。

ちなみに、どうにかこうにか工夫した後に敢えてネタ晴らしをする場合は、
できる限り後回しにするのがセオリーですよね。
そうすれば、途中でその工夫をやめてしまっても誰にも非難されませんし、後の方がサプライズ感も増します。

例えば、この記事の冒頭の段落の頭文字を全て平仮名にして縦読みしたら、
むね」の中に「にじ」が入っていました、とか言われたら、
何となくなるほどとなるのではないでしょうか。
いや、ならないかもしれませんが

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