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資生堂、肌内部のハリ強度可視化に成功 ~ 30代からのハリ低下にⅢ型コラーゲンの減少が関与 ~

 資生堂は、肌内部のハリ強度(弾性率)を可視化する技術を開発し、30代から始まる肌の老化兆候へのⅢ型コラーゲンの関与を明らかにしました。
 加齢によって肌のハリが失われる主な要因は、真皮全体に豊富に存在するⅠ型コラーゲンの減少(真皮全体のハリ強度の低下)であることが明らかになっていました。今回新たに、真皮最上部の乳頭層において、肌全体のハリが失われ始めるよりも若い年代(30代)で肌内部のハリ強度の低下が始まり、ハリ強度の均一さが失われることが分かりました。さらに、肌内部のハリ強度の不均一さは肌表面の小さな凹凸を引き起こし、肌の見た目にも影響することが明らかになりました。ハリ強度が低下する部位はⅢ型コラーゲンが減少する部位と一致することから、その関与が示唆されると同時に、クレソンエキス※にⅢ型コラーゲンの産生を促進する効果があることを発見しました。
 今回の知見を資生堂のコラーゲン研究の新たな成果として、アンチエイジングなどのスキンケア製品開発に今後応用していきます。
※ 全成分表示名称:オランダカラシエキス

《肌内部ハリ可視化技術の開発》

 通称ベビーコラーゲンとも呼ばれるⅢ型コラーゲンはこれまで成人において顕著に減少することは知られていたものの、肌のハリとの関係は全く分かっていませんでした。
 今回、超音波技術を応用して新規に開発した肌内部ハリ可視化装置(図1)により、肌内部に入射した超音波の反射を解析することによって肌内部のハリ強度の分布の可視化に世界で初めて成功しました※。この結果、Ⅲ型コラーゲンが分布する真皮最上部の乳頭層では、30代からハリが低下し始めることが判明しました。
※ 資生堂と本多電子(株)、豊橋技術科学大学との共同研究

《肌内部のハリ強度分布の加齢変化および肌表面状態の変化》

 肌内部のハリの強度分布の年齢による違いを視覚化したところ、20代では比較的均一であるのに対して、30代から真皮最上部の乳頭層におけるハリ強度の低下が生じるようになり、40代ではさらに進行していることが分かりました(図2)。また、真皮最上部の乳頭層におけるハリ強度の低下が肌表面からの見え方にどのような影響があるか調べたところ、ハリ強度が低下していない人は肌表面が均一であるのに対して、ハリ強度が低下している人は肌表面に小さな凹凸が生じる傾向があることが明らかになりました(図3)。

《ハリ強度の低下とⅢ型コラーゲンの減少》

 真皮最上部の肌のハリ強度が低下していない部位においてはⅢ型コラーゲンが多く存在するのに対し、ハリ強度が低下した部位では、Ⅲ型コラーゲンが消失していることが分かり、ハリ強度の低下の一因はⅢ型コラーゲンの減少によるものと示唆されました(図4)。

《クレソンエキスのⅢ型コラーゲン産生促進効果》

 クレソン(図5. 別名オランダカラシ)は、βカロテンをはじめとする豊富なビタミンを含有し、抗発癌作用や動脈硬化の予防が期待される栄養価の高い野菜です。今回、資生堂はクレソンエキスに、真皮細胞に働きかけてⅢ型コラーゲンの産生を促進する効果があることを見出しました(図6)。

本研究成果の一部は、2017年12月に米国にて開催された超音波国際会議(International Congress on Ultrasonics)にて発表いたしました。

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