araisara2012-13秋冬の展示会に行ってきました。
初めて記事を書くブランドなので少し紹介を。
デザイナーは、中国北京出身の荒井沙羅(arai sara)。
1997年中国でデザイナーデビュー後、日本に活動の拠点を移す。
東京にアトリエを設立、最高の着心地と美しいシルエットを追求した注文服を開始。
2005年東京目白本店をオープン、一点物の洋服の制作販売を開始。
2008年新しい視点から東洋の伝統文化とファッションの繋がりを表現するプレタポルテライン「araisara」を立ち上げる。
09-10 A/W より東京JFWにてコレクション発表。
今回のショーを最後に発表の場をパリへ移すaraisara。
残念ながら私はスケジュールが合わずショーには行けなかったのですが、ショーの前に招待状に印刷されているバーコードを読み取ると特別なページ(ショーの後は一般公開されています)が見れたり、コレクションでは、尺八・ピアノ・チェロを弾く3人によるオリジナル曲の生演奏に加え、香りを使って五感を楽しませる演出をしたり・・と、「なんとしても行けば良かったー!!」と後悔するような内容盛りだくさんでした。
秋冬のテーマは「阿那曲ADAKYOKU」。
楊貴妃が書いたとして唯一残されている詩で、この詩には「女性が綺麗な衣装を着て踊ること、良い香りがして~文化の交流を行う」、といったことが描かれているとのこと。
なるほど、それでショーで香りを使ったり、尺八・ピアノ・チェロを組み合わせたりしたんですね。
また今回は「場所」を結び、日本と中国の2つの国の文化を服の中で引き合わせています。
「濡れ描き」は日本では友禅の技法として、中国では水墨画の技法として長く受け継がれてきたもの。「剪紙(せんし)」という中国の民間伝統工芸品は、日本では切り絵として独自に発展してきたもの。
2つの国で別個に存続したこれらの技法を服の中で呼応させたそうです。
araisaraはブランドデビュー時から九十九式(つくもしき)を提案しています。
九十九式とは、可能性そのもののことであり、洋服を身にまとう人の想像力によって自由に完成する、すなわち、九十九に人の一が追加されて百になる、と荒井さん。
今回のコレクションでも、全てのルックで同じデザインの服(九十九式羽織りジャケット)をいろいろな着方で見せたそう。
100通り以上の着こなしを66通りまで絞り、その中から21ルックを発表したとのこと。
1枚の服を100通りにとはすごいですね!!
説明が長くなってしまいましたが、洋服を見ていきましょう。
こちらのコレクション写真で内側に着ている黒と青の羽織りが九十九式羽織りジャケットです。
ショーではベルトで留めてワンピースのように着ていましたが、2枚重ねた生地だったので、内側のブルーの生地を首元に巻いてみました。
お次は九十九式羽織りジャケットの袖を違うところから通し、本来の袖で前を絞ってみました。
後ろ向きに着てベルトを通すと・・
背中にドレープが出ます。
お次はこちら。
コレクションでは、ジャケットとして着ています。
一瞬レザー?と思いましたが、光沢のあるウールです。
私もジャケットのように着てみました。
先ほどワンピースとして着たときとは全然違うアイテムに見えますね!
内側の生地との素材の違いで楽しめます。
今度は九十九式羽織りジャケットの友禅です。
ショーではフィナーレで杏さんが上から羽織っていました。
生地から洋服を作り、最後に手書きで花の雄しべ・雌しべの部分(花の中央)を描いています。
すっごい綺麗です!!
ちなみに、花の中心を描くときのことを、友禅では「香りを入れる」と言い、その香りを入れた場所を「におい」と表現するそうです。素敵ですね!
うす~いベルベット。
厚さはわずか1.4mm。シルクの中では世界一薄くて軽いベルベットだそう。
この上に京友禅の職人が濡れ書きでモチーフを書いています。
ちなみに「濡れ書き」とは、生地を濡らした状態で、染料の滲みを操りながら絵を描く京友禅の技法の1つ。
水分を補いながら淡く滲ませ、何度も色を重ねながら深い色合いに仕上げていきます。
「濡れ書き」ができる職人さんがかなり少ないし、洋服だと着物とは違って生地の幅も違うから職人さんの固定観念を変えてもらうのが大変だったそうです。
背面の半分はベルベットの生地を生かしています。
下の方もピンク色になっていて素敵でした。
個人的に大好きだったアイテム。こちらも京友禅です。
プリーツを綺麗に出すために、前身頃と後身頃を分けています。
内側の紫の生地もとても綺麗です。
サイドが開いているので、ちらりと見えます。
ベルトを片方に通して着てみました。
サイドから見える紫の生地も素敵ですね~。
欲しすぎる・・笑。
ショーでは杏さんが着用していました。
九十九式羽織りジャケットはスカートとして履いているようですね。
こちらの白いジャケット。
「濡れ書き」の手法で絵柄を描いています。
服を作った上に手で描いているので、ポケットのところも綺麗に仕上がっています。
中国の伝統的な民間芸術である「剪紙(せんし)」を使って柄を作り、「手捺染(てなせん)」といわれるプリント技法で起こした生地を使ったジャケット。
九十九式羽織りジャケットはスカートとして履いていました。
という訳で、私も九十九式ジャケットをスカートとして履いてみました。
トップスにはベストを着てみました。
後姿が綺麗!!
先ほどのベスト、裏地もとても綺麗だったので裏返しに着てみました、笑。
これでも全然いけちゃいますね。
裏地とは思えない・・・。
お次は、手描き友禅と型染の技法を取り入れた九十九式ジャケット。
ショーでは逆さに着ているので柄も逆さになっています。
私はノースリーブとして着てみました。
世界一薄いベルベットに牡丹の花を型染で仕上げた九十九式羽織りジャケット。
ショーでは、袖を前で結んでいました。
また、ショーのフィナーレでは、九十九式羽織りジャケットを全てのモデルが同じように羽織っていたそうです。
同じ服をいろんな着方で見せるコレクションも素敵ですね。
ちなみに展示会場にあったソファーには素敵なクッションが。
やはりaraisaraの生地を使ったクッションカバーなんだそう。
うーん、素敵。
これなら手が届く価格かもしれないです・・笑。
ちなみに「店頭でみたことがないんですけど取扱いって・・」と聞いたところ、目白の本店とこのサロンでしか販売していないとのこと。
「きちんと説明して分かった上で買って欲しいから、なかなか他のお店に卸せないんです。そういう教育の行き届いたお店&バイヤーさんにはまだ出会えてないの」と荒井さん。
販売にもすごい拘りです!
まるでオートクチュールのような服作りをしているaraisara。
パリでの活躍も期待しています!!