続いて、アッパー仕上げ。
まず、コバ(ウェルトのうち、アッパーより外に出ている部分)に目付けをする。
目付けをする前のコバは以下の通り。
コバの部分に全く凹みがなく、綺麗な状態であるのが
おわかりいただけるであろう。
(画像をクリックすると拡大します。以下同様)
このように綺麗な状態のコバの部分に、
目付ごてと呼ばれる器具を使って、目付けする。
目付ごての写真は以下の通り。
横から見ると、鶴の頭みたいである。
目付けの仕方は、
まず、コバの縫い目の付け根付近に目付ごての先を引っ掛け、
コバの縁の方に目付ごてを少しだけ倒すようにする。
このとき、コバの部分に目付ごてをあまり押し付けすぎず、
自然に目付ごてを倒すようにするのがポイント。
目付けをしている様子は以下の通り。
目付けをする範囲は特に決まっていないが、
靴を真上から見たときに、
コバがアッパーに隠れて見えなくなる部分くらいから
目付けをするようにすると、
仕上がったときに美しく見えるらしい。
目付けが終わった様子は以下の通り。
コバの部分に波打つような凹みが少しだけできているのが、
おわかりいただけるであろうか。
(靴が黒ということもあり、たぶんおわかりいただけないであろう。)
次に、靴クリームを使って靴を磨いて仕上げる作業。
アッパーはもちろん、ヒールやコバ、コバの縁等、
全体的に磨いていく。
このときに使用する靴クリームは色々と用意してあったのだが、
今回はM.ムゥブレイの乳化性クリームと、
KIWIの油性クリームを使うことにした。
もちろん、色はアッパーなどと同じ、ブラックである。
ちなみに、磨く布は、前回書いたのと同じ、持参したTシャツである。
靴磨きに使ったクリームと布は以下の通り。
蓋に書いてある「ギルド」の文字がへたくそで、
靴をあんなに上手に作れる職人さんも、
字はへたくそなのだと思うと、親近感が沸いてくる。
まず、油性クリームを使って、
ヒール周りとコバの縁の部分を磨いていく。
このとき、油性クリームを布に付けすぎず、
薄く延ばすように塗りこんでいくのがポイント。
また、数滴の水を少しずつ加えながら磨いていく、
というのも重要である。
講師の方も
「水を少し加えると、また様子が変わってきますね」
と言っていた。
確かに、水を加えるのと加えないのとでは、
輝き具合にかなりの差があるように感じる。
次に、用意してあった歯ブラシを使って、
コバの縫い目部分と、ヒールとアッパーの間の隙間の部分に、
乳化性クリームを塗りこんでいく。
このとき、ヒールの色付けの際にインクを塗りきれなかった部分を、
綺麗に色付けできるように塗りこんでいくのがポイント。
ちなみに、自宅などでは、使い古した歯ブラシを使えばいいらしい。
「まさかここにある歯ブラシも使い古しですか?」と聞いたところ、
さすがにそんなことはなく、新品をおろしたものなのだそうな。
さらに、アッパー全体を乳化性クリームで磨いた後、
つま先やかかと部分などの、特に光らせたい部分を、
油性クリームを使って丁寧に磨いていく。
このときも、水を少しずつ加えながら、
クリームを薄く延ばすように塗り込めていくのがポイント。
靴を磨き終わった様子は以下の通り。
靴全体がピカピカに光り輝きまくっているのが
おわかりいただけるであろう。
もはや太陽のようである。
しかーし!
すくい縫いの後にウェルトをカットする際に包丁でつけてしまった傷が、
下の写真のように、クリームで磨いた後でもしっかりハッキリと残ってしまった。。。
クリームを塗れば、傷はきれいに消えるかも!?と、
少しだけ期待していたが、やはり甘かったようだ。
人生も靴作りもそんなに甘くない。
ここで、磨くために使った白いTシャツに、
インクが無造作についたさまが、
あたかもマルタン・マルジェラがデザインするような
Tシャツであるかのようだった。
写真を撮り忘れてしまったのが口惜しい。
さすがに、Tシャツの写真を撮っていたら
周りに変なやつだと思われてしまいそうである。
次に、木型抜きをするのだが、
記事が長くなりすぎたので、次回に続く・・・。
つづきはコチラ。
Guild of Crafts~靴作りVol.4-5~
はじめますて。楽しく拝読しますた。傷の件、残念ですたネ。アッパーのマスキングの工程を省かなかったならば、傷が付かなかった、あるいは、最小限に済んだ鴨。
ちなみに、かくれん棒、というクレヨンみたいなのがありまつヨ。ハンズなどで手に入ると思いまつ。
http://www.aiko-japan.com/zakka/kakuren_s/
また、ご存知だとは思いまつが、UW等の修理屋さんで補修可能でせう。
http://union.tvst.com/kizu.htm
それぞれのお店でノウハウがあるかと思いまつが、マニキュアなんかを使ったりするそうデツ。
清角さんにフィラー・シャンクを聞かれていますたが、
フィラー:練りコルク・コルクシート・板コルク・フェルト
シャンク:ウッド・スチール・レザー
あたりが一般的だと思いまつ。それぞれに長所短所があって、どれがベストかは難しいかと思いマツ。
練りコルク・・・圧力(体重)の強弱によって分離する、経年変化で硬化する
板コルク・・・剛性が高いので、履き心地が硬くなりそう
フェルト・・・純毛のいいフェルトは異様に高い
ウッドシャンク・・・割れやすい
スチール・・・錆びる
などなど。
先日、衝動に駆られて、ノルウィージャンウェルテッド製法のハンドメイドの靴をばらしましたが、フィラー・シャンクとも無しという、かなりヘンテコな靴ですたwww
福岡市民さん、コメントありがとうございます。
傷はみんなに自作靴を見せるときのネタになっているので、
とりあえずそのまま放置しておこうかと(笑)
シャンクのご説明ありがとうございます。
かなり靴にお詳しいですねー。
また、遊びに来て下さい。