プレタポルテはオワコンか

オートクチュールがまだ権威を保っていた頃、そこに夢を見ていた庶民は、ライセンス商品という形でそれに触れていた。
やがてプレタポルテ(高級既製服)が主流へと移り変わり、オートクチュールが失墜していった。
現在オートクチュールは、絶滅保護種を守るかのように、手厚い看護の元で生き長らえているような状態となっている。

オートクチュールブランドはそのままプレタポルテを展開した。
(プレタポルテという言葉には高級既製服というイメージがあるが、現在の殆どのブランドには高級既製服というイメージは薄い。
デザイナーズ既製服という感じだろうか)
庶民が手を出せるプレタポルテではあったが、ライセンスビジネスという手法は残った。

かつてのオートクチュールブランドのライセンスが、ブランドステータスを身につけるような感じであったのに対し、現在の多くのライセンス商品は、そのブランドのステータスよりも、ブランドの世界観を様々なアイテムにも広げるようなものになっているように思える。
ファストファッションブランドとコラボするといえば聞こえはいいが、あれはステータスのある、ごく数少ないデザイナーに許された、現代のライセンスビジネス形態だと思っている。

クチュールからプレタに替り、プレタから単なるデザイナーズに替り、モードから高級感が消えつつある。

この10数年、ユニクロやファストファッションに引き摺られ、服の相場は著しく下がっている。
しばらく前にマルジェラマルニさんのこの記事を読んだとき、嗚呼と思った。

僕がブラックフリースのカーディガン↓を待ち受けにしているのを見て
「これいつも着てるやつですね。」
「そうそう。」
「なんで服が待受けなんですか!?」
「服が好きなんだよねえ。」
なんて話をしているうちに、やはり会話は
「これ、高いんですか?」的な流れに。

「ま、まあ、それなりに(^^;」
などと濁していると、一人の子が屈託のない笑顔で尋ねるわけです。
「ひょっとして1万とかするんですか!?」と。。。

あの時、目を伏せる以外に、僕には何ができたでしょうか。
ドM「汚れっちまった悲しみに」

現在30歳を超える私たちが、バーゲンに並んで手に入れたようなデザイナーズ服はどんどん購買層が縮小し、それらが売れないもので、”セレクト”ショップと言うには相応しくないセレクトショップと呼ばれる店は、デザイナーズ服よりは安く、品質も(ユニクロ未満の)まあまあで、小洒落た服を作って売っている。

そもそもモード服を買う層は少ない中で、高級服が売れなくなり、それはつまり利益を圧迫する。
今デザイナーズブランドのデザイナーはどうやって糊口を凌ぐのか。
利益確保の為にかネット自販を始め、チャネル拡大の為かZOZOのようなインターネットショップでも販売を始めた。
雑誌は部数を減らし、TVは視聴者を減らし、どちらも訴求力は低下中。
インターネット程、低コストで多くの人に訴えられるメディアは、他にない。

世界のデザイナーズブランドにおいても日本は最大のマーケット。
ここで売れないと生きていけないようなマーケット。

GWに九州を訪れEuphoriaのKaizeさんと話をしたが、今の日本の新興ブランドは本当に吹けば飛ぶような売上のブランドばかり。
スターデザイナーはしばらく生まれていない。
現在確たる地位を築いているデザイナーズブランドのデザイナーが逝去すれば、泡沫ブランドばかりになるのではないか。

元々なぜランウェイショーがあったかというと、顧客に見せる為であり、その後はプレスに見せて情報拡散して貰うためであったが、ネットを使えば全世界に配信できる。
東京コレクションも自力では立てず、国の助成で生きながらえていだが、ついには外資頼みに陥った。

日本ファッションを官民一体で世界に発信してきた東京コレクション(東コレ)が独自動車大手ダイムラーの出資を受け、今秋から「メルセデス・ベンツ」の冠イベントに衣替えする。国際宅配大手の独DHL、化粧品大手の仏ロレアルなどからの出資も受け入れ、外資主導の運営にかじを切る。経済産業省の財政支援の打ち切りなどによる資金難を外資との提携で乗り切る。

東コレ実施組織の日本ファッション・ウィーク(JFW)推進機構は、関連行事などを含むイベント全体にメルセデス・ベンツの名称を冠することでダイムラーと基本合意した。今後、ダイムラーが東コレの最大スポンサーとなる。

当面、年約6億円の事業費の半分弱を外資からの出資で賄う見通し。東コレは国内のデザイナー育成やアパレル産業振興を優先し、これまで外資とは距離を置いていたが、初めて受け入れる。

東コレは日本人デザイナーの自主的な合同ショーが母体で1980年代には三宅一生、山本耀司、川久保玲各氏らが参加し世界から注目された。

だがバブル経済の崩壊で有力デザイナーの撤退や海外流出が相次ぎ低迷。テコ入れのため2005年から経産省が事業費の半額を負担する官民一体の形に切り替えたが、政府の事業仕分けにより10年度で財政支援が打ち切られ、資金難に陥っていた。

東京コレクション、外資頼みで衣替え 「ベンツ」を冠に:日本経済新聞

もう高級既製服という意味でのプレタポルテは、ほぼ壊滅的であり、コレクションさえ資金補助がなければやっていけないような状況。
オートクチュールの後を追っているかのようだ。
プレタポルテやコレクションビジネスは、オワコンに向かっているのではないかと思える。

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