硬派純米酒と華やかカプロン酸エチル酒と。

ここ3年日本酒にハマっているのはご存知の通りです。
本日、池袋東武地下で行われている試飲会に行ってきました。
「【日本酒】池袋東武で5月26日(木)から6月9日(水)まで、「全量純米蔵を目指す会」11蔵の試飲販売を実施中。 阿波山田錦の60%精米という統一規格の第一段11商品が、2年間の熟成を経て再来。 各蔵の個性が堪能できます。」
全量純米蔵を目指す会

昇龍蓬莱、秋鹿、るみ子の酒と試飲していって、ふと気付いた。
冷蔵されている酒を試飲しているけれど、全部味が”硬い”。
「あの。この中で冷(ひや)で美味しい酒ってどれですか?」
「んー、無い、ですね」
「ですよね!?みんな温めてうまくなる酒ばかりですよね!?
じゃあ、なんで冷蔵した酒を試飲で出してるんですかwww」
「いや、冷でもそれなりに美味しく飲めると思いますよ」
これは方便で、おそらく百貨店からの指示や、客受け等色々な理由があったのだろう。

それから色々話をしたのだが、最近の白ワインのような香がプンプンする酒でなく、正当な日本酒を作りたいという。
「(醸し人)九平次とか、ああいう酒はねぇ」

醸し人九平次 純米吟醸 山田錦 720ml

醸し人九平次 純米吟醸 山田錦 720ml
価格:1,764円(税込、送料別)

と、白ワイン系最右翼のカプロン酸エチルぷんぷん酒を挙げた。
そしてこの会は、九平次とは真逆にある、純米硬派の神亀が主体であり、そういう酒を目指しているのだという。

神亀 純米酒 720ml

神亀 純米酒 720ml
価格:1,648円(税込、送料別)

例えるなら、九平次はヒットチャートに入るような、キャッチーなポップス。
神亀は、実力派のブルーズ。

私のスタンスは、ポップスから入って、ブルーズも理解できる、というところ。
それぞれに良さは理解しているが、好みとしてはポップス系に少し寄っている。
しかし、この店員相手にカプロン酸エチル(ポップス)話は禁句である。
純米(ブルーズ)の深い話に付き合って、気持ちの良い接客をしてもらった。

さて、ここから(このブログ読者のために?)むりやりファッションの話に持っていくが、神亀というのは、いわば着心地を追求した服のような存在でもある。
日本で最初に全量純米酒の製造を始めた酒蔵だ。
その硬派な味とスタンスに憧れ、「全量純米蔵を目指す会」のようにいくつかの硬派な酒蔵は純米酒へと向かった。

毎年、新酒鑑評会というコンテストが行われているが、これは美味しさというより、華やかさを競うドレスアップコンテストである。
飲んで美味いというより、かぐわしさを競うようなものだ。
鑑定する人たちは、出品酒を”飲まない”。
口に含んで吐いてオシマイである。
着て気持ちいい服ではなく、見て美しい服を選ぶのと似ている。

どっちがいいか?どっちもいいに決まっている。
それは各々が選択すること。どっちかに振り切る必要もない。

しかし気になったのは、オリジナルを生み出すのでなく、どっちかを目指す酒蔵である。
獺祭を目指したという、山口の「貴」
神亀を目指した、全量純米蔵を目指す会の酒蔵。

今日話した諏訪泉の蔵人も「やっぱり神亀さんは抜群にうまいです」と語っていた。
亜流ではなく、オリジンであって欲しいとは思う。


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