普段、私が意識するファッションブランドというのは、デザイナーが自身の世界観を投影した服を作るクリエーティヴなブランドなのだが、世に言うブランド(特に”ブランドもの”)というと、エルメス、グッチといったラグジュアリーブランドを指していることが多いようだ。
この両者の違いというと、クリエーティヴなブランドでは、デザイナーが作りたい服を作り「ほら、着こなしてみなさい」と顧客に挑んでいるようなスタンスでいるようであるのに対し、ラグジュアリーブランドでは対象とする顧客層があり、彼らのライフスタイルに向けて、そこで着る服を作り「どうぞ、あなたの生活のこの場面では、この服が着られますよ」と提案するスタンスであるように思える。
たとえばラグジュアリー代表としてグッチでは、トムフォードが
「私の作る服は、必ず自分の思い浮かぶ誰かが着用することを意識している」
と語っていた。
クリエーティヴなブランドではいわずもがなである。
これを証明するかのように、クリエーティヴなブランド服を販売する店で店員は自身のブランド服を着用し、その着方の提案と世界観の表現をするが、ラグジュアリーブランドという顧客のライフスタイルを尊重するブランドでは、店員は制服を着用している。
つまりラグジュアリーブランドの服は店員が着て世界観を表現するようなものではなく、お客さんの世界観にゆだねるものだからなのだろう。
また、一般普及服を作るブランドにおいてもスタンスがあるようで、2000年の新聞記事では、永澤陽一が
「ヨウイチナガサワは一万人、ノーコンセプトバットグッドセンスでは10万人、無印良品では一億人を相手にクリエーションしています。つまりヨウイチは僕の創りたいもの、ノーコンセプトは僕の好きなもの、無印はみんなが欲っしているものを目的にしています」
と語っている。
よくよく考えて見ると、メンズノンノでラグジュアリーブランドが紹介されるのは極めておかしな話だし(そんな高校生・大学生がいてたまるものか)、GAINER(gay-ner?)で「差をつけるブランド小物!」と紹介されるのも単なる商業主義である。
まあ日本でブランドというのが倒錯して受け入れられているのだから、そこをつついても詮無いことなのだけれど。
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最近気になっているダブルウォールグラスです。
デザインはもちろん、持って熱くも冷たくもなく、水滴も気にならないという機能性もいいと思います。
誰か買ってくれないかな。(ちっとも高くないんだけど)
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