住んだ街のお気に入り~深夜の中華料理編

住んだところは都にできる。

地方に住んだとしても、そこで自分の居場所を作り、お気に入りを見つけ出せるか、都会へ憧れそこから逃げ続けたがるかは、その人の考え方によるのかもしれない。

数えてみると今までに、6つの町に住んできたが、どこにも自分のお気に入りができ、今でもしばしば行ってしまうのは、きっと私はそういう性格なのだろう。

全ての町に自分のお気に入りの場所があり、お気に入りの店がある。
友達にいつも「いい店あるんだぜ」「連れてゆきたい場所があるんだ」と言ってる気がする。
お気に入りができると離れがたくはなるけど、引越は不安どころか楽しみだ。

さて、実家を離れて初めて住んだ町、前橋。
街の商店街を見てしまうと、そのあまりの荒廃ぶり(在学中もひどかったが、今ではさらに悪化している)に驚きどころか恐怖を覚えるくらいだが、いいお店はたくさんあり、年に数回は通っている。

特にお気に入りは県庁そばにある中華料理のユーカラだ。(看板には中国料理と書いてある)


この店は異常な店である。
営業時間は深夜23時半から4時半(今では3時)
メニューは定食4種とラーメン2種(今では定食3種のみ)
2人前はあろうかという量のおかずとご飯で1000円。

大学1年のとき、この店のそばにある寮に住んでいた。
寮に入ってすぐに先輩から「ユーカラって店があってな」とその噂を聞いた。
しかしどこにあるかもわからないので、たいてい最初は先輩に連れられて行くようだ。
ところが引っ越して初めての休みに近所を散歩していると(初めて住んだ町では探索するのが好きなのです)、その看板を発見。
寮にはまだ友達もできていなかったので一人で行った。

その味と量には驚いた。
細かな味付けなど忘れてしまうような強烈なうまさ。
苦しくなるほどの量。
おいしいなんて上品な言葉ではなく、ウメェ。
たとえるならラーメン二郎の定食版だろうか。

肉野菜炒め定食は油で素揚げした野菜と、衣を付けて揚げた鶏肉を鍋でタレと和える。
野菜炒めが水っぽかったりしんなりしている、普通の野菜炒めと違い、揚げているのでシャキシャキだ。
鳥のとうがらし炒め定食は、肉野菜炒めと同じように揚げた野菜と鳥肉とをトロミのついたソースで和える。
にんにくが効いて絶品だ。これが一番人気だろう。
”炒め”というのは実は本当に炒めるのではなく、加熱しながら味をなじませるのが本当の調理方法なんだと思える。
鳥のから揚げ定食は子供のコブシほどの大きさのから揚げが5個か6個。
他と比べるとマイルドな味の衣だが、巨大な肉塊をジューシーに食べられる。
(4,5年前まではニンニクの芽と豚肉炒め定食というメニューもあり、これは私と友達の間で一番人気だった)

こちらのブログには写真が→デブログ

お気に入りになり、多くの友人を前橋に呼んでは食わせていた。
必ず初回は「頼む。おごるから、食ってみてくれ」と言って、10人以上は連れて行っただろうか。

埼玉の新座に住む友人などはその虜になってしまい、突然寮に現れては「おい何してんだよ、ユーカラ行くぞ」と拉致されたことが何度もある。
わざわざ2時間運転してきては、明け方「ねみぃ」と行って帰って行く。それほどのものなのだ。

私は翌年、桐生に引っ越してからもよく通っていたし、就職で全国どこに配属されるかわからない時期から「関東にいる限りは通ってやる」と決意していたが、静岡に配属になった。
それでも年に1度くらいは食べにいっていた。

昨年は行かなかったが、今年の初夏に店を訪ねると休業していた。
臨時休業かと思ったが、調べてみると店主が体調を崩して休業中らしい。
そういえばあれからもう10年経っている。15から20年は一人でがんばっているのだ、体にガタが来てもおかしくない。

ようやく先週再開したと聞き、昨晩仕事を終えた後、都内の友人と一緒に行ってきた。
高速道路に乗って片道1時間半。
0時に到着し、行列がおよそ20人。
店内は13席ほどのカウンターのみ。
2時間弱待ってようやくありつけた。(2時頃までは、1時間待ちは当たり前である)

この大量の定食を美味しいままで食べきるには半ライス(50円引き。それでも通常の大盛りくらいある。ちなみに大盛りにすると日本昔話のようばてんこ盛りご飯になる)がいいと経験上わかっている。
やっぱ強烈にうまい。食べ始めた途端に次はいつ来ようかを考えてしまった。

店を出ると2時15分。
後ろにはまだ行列が15人。
休業明けで押し寄せたのもあるだろうが、やはりすごい。
それから世田谷まで110km、1時間半。
猛烈な睡魔と闘いながら運転して帰った。

店主が店を畳むまでに、あと何回食べられるだろうか。

このブログの読者にも、クルマで、或いは終電で行き、始発で帰るくらいの覚悟で行ってみて欲しいくらいだ。
こういうパワフルな味が好きな方にとっては、その価値は十分にあるはず。

食べきれない人も多いので、全てパックで持ち帰り可能。
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池ノ上(京王井の頭線)という駅も、グルメ地帯です。
また紹介します。


Comments

“住んだ街のお気に入り~深夜の中華料理編” への1件のコメント

  1. 突然ですが、検索エンジンからあなたのサイトを見ました。貴ブログと相互リンクをお願い頂けませんか。
    なお、全く興味のない方は、削除してください。
    失礼いたします。

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