ファッションコンテストについて

日本のファッションコンテストと言えば、装苑賞くらいしか思い浮かばない。
おそらくローカルに行われているコンテストは無数にあるのだろうが、名前を聞かない上、そこで受賞歴があるというデザイナーを聞かない以上、地位が確立されていないと考えていいだろう。
装苑賞は確かに日本を代表するコンテストであり、多くのプロデザイナーが受賞してきた。

しかしながら、装苑賞は日本人のアマチュアのためのコンテストであり、プロやセミプロといった技術を持った人のためのコンテストは聞かない。


イエールモードフェスティバルは国際性もあり、アマチュアに加え既に自身でブランドを立ち上げているようなセミプロも参加する。

例えて言うなら装苑賞はアマチュアバンドコンテストであり、イエールモードフェスティバルはショパンコンクールのような感じがするのだ。
片や服作りの技術も乏しく、発想に重きを置き、きらめく才能と将来性に期待を置くコンテスト。
片や確たる技術を持った者に対し、その上での才能と将来性を探るコンテスト。

どっちがいいとかいう話ではないのだが、日本において後者のコンテストが存在しないのはどういうことであろうか?
日本でも、絵画や音楽においては存在するタイプのコンテストなのに、ことファッションにおいては聞かない。
専門学校があって服作りを教えているのだから、まともな技術の伴った服が作れないわけはないのだが…

装苑賞は「受賞した人がプロデザイナーになったわけでなく、プロデザイナーになった人が過去に受賞した経験がある」という類のコンテストに思えるのだ。

ファッションを産業として成り立たせる以上、プロとしての制作技術は必須である。
それら技術を備えた上での才能を計るコンテストが、日本にも生まれて欲しいと思うのは私だけだろうか?


Comments

“ファッションコンテストについて” への7件のフィードバック

  1. 一度コメントをいただいたのですが、なぜか削除されてしまったのがあります。
    そのコメントを抜粋して、私の意見を書いてみたいと思います。

    <装苑賞に出る方が技術が乏しいと言うには理由が少ないです。
    イレギュラーな服は作るのが大変難しい。普通の縫製技術やパターンではいかない事がほとんど。ルールの外でやる。だからこそ偶然の産物として良いものが出来る時もある。皆その低い確率に賭けているのです。そしてその確率が低いのはおっしゃる通り経験の無さ。
    ちゃんと服を作らせれば出来ますよ。間違いなく。>

    私には、ちゃんと作れる人もいれば、ちゃんと作れない人もいるように思います。
    また偶然の低い確率で作るというのも、腕の無い人の話だと思います。
    きちんと技術があれば、問題は解決できるものですから。

    <装苑賞よりファッション大賞の方が知名度あります>
    間違っていたら申し訳ありませんが、ファッション大賞とは毎日ファッション大賞のことでしょうか?
    あれはコンテストではありませんよね?

    <contestに本気な学生にとって小さくても入選は大きな励みです。小さくても1/50位の確率で選ばれる。普通で1/100。簡単に地位が確立してないと言わないでほしい。>

    すいません、不勉強だったかも知れません。
    装苑賞以外にも、地位の確立したコンテストはあるのでしょうが、私の勉強した範囲では、日本に名の知れたコンテストが無かったもので、このように書いてしまいました。

  2. 装苑賞について調べていたらこのブログを発見しまして。過去のものも読ませていただきました。楽しかったです!
    また寄らせていただきます。

  3. >yuka
    コメントありがとうございます。
    関係者の迷惑も考えず、好き勝手書いています。
    (これもアパレルにいないからできることでしょうけど)
    これからも好き勝手に斬っていく所存です。

  4. お返事ありがとうございます。
    服をつくる勉強をしているんです。が、法学部卒で、法律事務所に勤めていますし、今のところ私も全くのアパレル枠外です。
    とりあえず装苑賞目標!かな?と思っていたのですが、実状をウェブで見て少しがっかり。。。
    今後もブログ楽しみにしてます。

  5. 実際、自分のような素人には「服の技術」とか言っても正直わかんないです。何かそれらしいことを言ってもプロの方から見れば的外れなこと言ってるんでしょうし。

    あと、ファッション大賞っていうのは、「新人デザイナーファッション大賞」のことなのかな?って思いました。あれだったら、有名ですよね。(完全な名前は知りませんでしたが)

    たぶん、他にも有名なコンテストっていうのはあって、服飾の人には知られているんだろうけど、けど一般の人はわからないから、結局のところ日本では装苑賞ぐらいしか一般人に認められる賞ってないんですよね。

    個人的には、装苑賞の服はおもしろいから好きですけど。技術に関しては素人だからわからないけど、発想力なら素人でも理解できますしね。

    ところで、管理人さんは、素人の方?なのに、どこを見て技術力っていうのを判断されているのですか?イエールのコンテストのほうが確かに技術力はありそうだな、って気はするのですが、イマイチわかりません。

  6. >shiro
    新人デザイナーファッション大賞。
    http://www.fashion-gp.com/index2.html
    これですか。
    元々はオンワードのヤツなんですね。
    オンワードのは知ってましたが、2004年からこうなったとは知りませんでした。
    こっちの方が装苑賞より実力ありそうですね。

    技術力の判断は、フォルムの作り方や着用性、アイデア具現の洗練性を見ています。
    審査員のコメントでも「デザイン画と別物になっちゃったね」「ここが重いね」といったものが多いことからも、技術力不足が伺えると思います。

  7. アマチュアバンドコンテストと批判することは、とても簡単だ。
    実際選ばれてつくって、評価されたものにしか本当のことはわからない。
    服はその人の内面がでると思う。
    悩んで、集中して、つくる服たちが、(あなたらしくてわかりやすかった。何も考えないでつくったでしょ。)と言われ、
    もんもんとした感情やぎりぎりまで粘ったことが表にあらわれずに
    服に落とし込めたことが、嬉しく思う。

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