日本のファッションコンテストと言えば、装苑賞くらいしか思い浮かばない。
おそらくローカルに行われているコンテストは無数にあるのだろうが、名前を聞かない上、そこで受賞歴があるというデザイナーを聞かない以上、地位が確立されていないと考えていいだろう。
装苑賞は確かに日本を代表するコンテストであり、多くのプロデザイナーが受賞してきた。
しかしながら、装苑賞は日本人のアマチュアのためのコンテストであり、プロやセミプロといった技術を持った人のためのコンテストは聞かない。
イエールモードフェスティバルは国際性もあり、アマチュアに加え既に自身でブランドを立ち上げているようなセミプロも参加する。
例えて言うなら装苑賞はアマチュアバンドコンテストであり、イエールモードフェスティバルはショパンコンクールのような感じがするのだ。
片や服作りの技術も乏しく、発想に重きを置き、きらめく才能と将来性に期待を置くコンテスト。
片や確たる技術を持った者に対し、その上での才能と将来性を探るコンテスト。
どっちがいいとかいう話ではないのだが、日本において後者のコンテストが存在しないのはどういうことであろうか?
日本でも、絵画や音楽においては存在するタイプのコンテストなのに、ことファッションにおいては聞かない。
専門学校があって服作りを教えているのだから、まともな技術の伴った服が作れないわけはないのだが…
装苑賞は「受賞した人がプロデザイナーになったわけでなく、プロデザイナーになった人が過去に受賞した経験がある」という類のコンテストに思えるのだ。
ファッションを産業として成り立たせる以上、プロとしての制作技術は必須である。
それら技術を備えた上での才能を計るコンテストが、日本にも生まれて欲しいと思うのは私だけだろうか?
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