Kanataファッションショー

友人の招待で11/4に六本木ヒルズ49階で行われた、Kanataというブランドのファッションショーを観に行ってきた。
デザイナーは加藤哲朗21歳。
とても若い。

ネット上ではちらほらとショーの宣伝を見たが、入場料が千円かかる。
例えばクラブイベントでショーを行い、ショーの後普通に踊れるというならば有料もわかるが、これは単純にショーだけである。
それも超有名メゾンのショーでもなく、新進のブランドなのだから招待して見に来てもらうのが妥当であると考えるが、有料とはちょっとわからない感覚だ。
(幸い私は招待であったが)

会場は予想外に満席。立ち見の客も入りきれないくらいである。


フロアの真ん中にテーブルと4つのイスを置いて、その周りを楕円形に3列の客席が囲む。

ライトダウンされると、左側の席に座っていた客が立ち、座っていたイスをフロアの真ん中に放り込む。
2人×3列の6人がイスを放り込めば、そこがランウェイの入り口だ。
後部のドアが開き、モデルが歩き込んでくる。


ワンピースの半身をベージュの生地で切り替えた服も素敵だ。

メンズとレディスともに白と黒を基調とする、ゆったりとした服。
90度傾け、ウエスト部分に足を突っ込むデザインになったハーフパンツはとてもユニークなアイデアだし、太もも部分で切り替えてプリーツを入れたパンツもよかった。
残念ながら薄暗い会場であったため、写真は全てボケてしまってほとんどアップできない。

後半はNew Suit Projectという企画で、スーツの再構築をするというもの。

スーツを型どっているのは形でも、機能でもなく、いくつかの象徴性だと感じたからです。

発表した全ての作品に共通していることは、「IN」であるシャツをスタイルの中心に考えたことです。
本来従属的な立場にある「IN」をスタイルの中心に考えることで、いかにその「IN」を引き立てるかという観点からジャケットを含めてスタイルを考えました。

そうあるように、シャツをスーツに見立てたデザインの服がメイン。
シャツ地にラペルを加えたり、ネクタイ状のものをシャツと一体にしたものだとかがある。

ディテイルとしてとても興味深く見れた。

総じて、魅力を感じる服は多かったが、やはり気になった点も多い。

全体に言えてしまうのは影響元の明確さ、そしてテクニックの弱さ

あらゆるシルエットに、山本耀司の影響が強すぎる。
この道を行ってもオリジナリティを証明することは難しいだろう。
(強いて言えば、山本耀司よりも山本耀司らしい服を作ることで、ファンを作ることであろうか?)

そして、山本耀司の非構築は、構築を確実に身につけたうえでの解体である。
非構築でルーズな服は、テクニックを誤魔化して作れてしまうものである。
きっちりと身体にあった服を作り、テイラードもマスターした上で、ニュースーツプロジェクトに取り組んで欲しい。

気持ちは充分に伝わったし、アイデアにもところどころ冴えたものを感じた。
頑張って欲しい。


Comments

“Kanataファッションショー” への9件のフィードバック

  1. 「山本耀司の非構築は、構築を確実に身につけたうえでの解体である」
    この文章に非常に共感しました。ただデザイナーがテーラードの構築を身に着けることは、相当困難だと思うんですよね。昔身内のテーラーの職人に聞いた話ですが、「2~3年専門学校で勉強しただけでは、スーツを作れるわけがない」とハッキリ言っていました。
    確かにその通りだと思います。結局テーラーで修行した実績か、よほどよいパタンナー等に恵まれない限りは、スーツというのは中々難しいテーマなんでしょうね。
    構築を理解した上で、再構築を行うってのは、若いデザイナーにとってはあまりに重過ぎる挑戦なのだと感じます。ただそういう心意気のあるデザイナーが出てきてくれるっていうのは、とても嬉しいですね。

  2. シアタープロダクツの武内氏が、
    昔こんなことを言っていたようです。

    「壊して構築すること=モード」だと思い込んでいる人たちがすごく多い
    http://www.web-across.com/special_issue/d6eo3n0000008pcz.html

    私は共感しましたね。

  3. >Alceste
    だからこそ、中途半端な姿勢で取り組んではいけないと思うんですよ。
    「基本を知らないと一流にはなれても、超一流にはなれない」って持論があります。
    もっと勉強してから取り組んで欲しいな。

    >ぷりま
    その記事、こないだ読みました。
    でもその部分は読み飛ばしてた(笑)
    既成概念を破壊することがモードじゃないし、既成概念を踏まえた上で、あらたな解釈を加えて欲しい。

  4. 最初はカナダのカウチンメーカーかと思いましたが、
    若干21才のデザイナーが出てきたことはいいことだと思います。
    誰の弁だったか、東コレが純文学的になってしまった…との評が的を得ているなと感じてた近頃だったので

    影響というのは、得てして無自覚なものが多いかもしれませんが、
    コンストラクションとデコンストラクション両立は難しいものですね

    ヨージが過去の復刻を行うのと、他のデザイナーがヨージらしい服を作るのはまるで意味合いが異なるように

    今求められるのは
    お洒落することがお洒落じゃない
    という今の気分を変革するデザイナーでしょうか

  5. >山
    そろそろ次のリーディングデザイナーが登場してもいい頃ですよね。
    あと、デニム戦国時代も、そろそろ落ち着いて欲しいと思います。

  6. パターンがぱっと見て単純に見えてしまうのは私だけですか?
    やはり21歳できちんとした技術を身につけるのはさすがに難しいと思うし、スーツに取り組むのはやや無謀な気もしてしまいました。
    写真しか見ていないので構造までは分からず表面的に見ての印象ですが、、、

  7. >TKTZ
    ええ、それは見たとおりです。
    どれも練られたパターンではありませんでした。

  8. 私はネットで写真を拝見させて頂いただけですが、この年で前へ前へという気持ちが出てて良かったです。
    私がコレクションとして洋服を発表する時に大切だと思う事はそこで何を表現しているかが明確かどうかという点です。
    服を学んだ人は(私も含め)その作りやパターンに目が奪われがちですが、私はもっと直感的な部分やそこにある空気感などを大切にしています。
    スーツなど確かに歴史や技術において深い位置にあるアイテムですが、そのようなアイテムに若い人が彼のようにどんどんと取り組む姿勢は私には好印象です。
    みなさんの意見をみていると、とても東洋的で興味をもちました。私たち見る側も試されている時期かもしれませんね。

  9. >O
    サイトにショーの写真がUPされてましたね。
    Oさんのコメントを読んでから気付きました。ありがとうございます。
    私達のコメントはとても東洋的な意見でしたか?ほぉ、そうなんですか。

コメントを残す