みうらじゅんを誤解していた。
今まで持っていたおちゃらけたイメージを、見事にひっくりかえされた。
アイデン&ティティは切ない映画だった。
過ぎしバンドブームの頃、本当に偶然のように1曲だけヒット曲を持ってデビューしてしまうバンド、主人公中島(峯田和伸)率いるスピードウェイ。
実力を伴わないまま、ブームという流れに乗せられてしまった。
ライヴをすれば女の子が寄ってきてつまみ食い。
そんなとき中島の前にフォークロックの神様・ボブディランが現れる。
ボブディランは彼の偶像。ディランの前で己を恥じる中島。
商業主義と自分の信念の間で彼は懊悩する。
「ロックってなんだよ?自分を裏切っちゃいけないだろ?」
中島にはずっと付き合っている彼女が居る。
この地味に美人な彼女(麻生久美子)がたまらなく素敵だ。中島が浮気をしても決して激昂せず、たんたんと諭す。
「キミのクビにキスマークが付いているよ。私が嫌いにならないうちに出て行ってくれないかな」
「どうして自分の歌を歌わないの?」
「君が君でいる限り、私は君のことが好きだよ」
まるで母のように中島を包む彼女は、まさにHOMEだ。
「不幸なことに、不幸なことがなかった」
「やらなきゃいけないことをやるだけさ。だからうまくいくんだよ」
もう名台詞のオンパレードだ。
ディランの歌詞が素晴らしい。
ラストのバラード「大人の悩みに子供の涙」もいい。
道に迷っている人、自分以外の誰かの脱皮したい。そういう人にはガツンと来る青臭い青春映画だ。
Do you think ROCK will be forever?→
コメントを残す