さて、自分のところのコレクションも終わり、サロンが始まる。水曜日、なんとなくサロンが始まるなぁと一段落してしたところ、電話が入る。というのもコレクション会場に居るうちのスタッフから。緊急に布を縫える人間が欲しいとのこと。
コレクションの会場は、パリコレ開催期間中、大体同じ場所を使い回す。今回のうちの会場だったHotelも期間中、いくつもコレクションが行われる。同じ広間を使うのは1日に1回くらいで、他の広間も使って多い日で2つほど‥これはルーブル以外の固定された会場の話しで、使われる場所はその時によって変わる。
そして、会場の演出や設定を持ち回りで担当している。うちの事務所が関わっているのがいくつかあって、アトリエではなく広報関係の事務所の人員は借り出されている。
そこで、会場に必要な椅子を覆うカバーを作らなければいけなくなった。これは、縫える人員に声がかかる。でもこのアトリエにはモデリストやお針子さんが居ないので、そういう依頼は今のところ、私に回ってくる。
依頼が入ったのは水曜日の午後ちょっと前。話では金曜日の夕方のコレクションのために、長椅子16本分縫うとのこと。
午前中余裕をかましていたが、午後になってなんか怪しい雰囲気。翌日木曜日にも12本必要とか?話が見えてこない。ギャスパーは簡単な作業だと言う。
とりあえず、家庭用のミシンを持って午後(?夕方)会場へ。よく聞くと結構大変な作業の相当数のカバーを木曜日の15時までに必要だと言われた。
作業開始は殆ど18時を回った、裁断と縫製、どう考えても1本縫うのに40分くらいかかる。これを12本だと‥裁断とか色々入れても12時間。途中で色んな話し合いや、生地が足りなくてもらいに行ったり‥としてるうちに夜が更けていく。
殆ど徹夜覚悟で作業続ける。夜10時くらいにちょっと食事に抜けて(それすらも時間が惜しい)、ひたすら縫う。直線しか縫わなくても、一回に縫う長さは5メートル近く。家庭用のミシンなので、最大に踏んでも全然遅い。工業用ならもっと早く縫えるのにとイライラ。オマケに、舞台用に使う厚めの生地だから無理すると針が折れる。
夜中の3時‥さすがに集中力が切れたのと、木曜日のコレクション後も更に作業が続く不安から、仮眠とか取った方がいいと判断しタクシーで家に戻る。家で1時間半ほど寝て、シャワーを浴びて再び会場へ。7時前には着き、再びミシンを踏む。
15時までに何とか終わらせなくては‥。夜中のうちに誰か助けが来るようにと電話を入れておいたので、午前中アトリエから別の研修生が来た。裁断をしてもらい、来た布から縫っていく。気が狂いそうだ‥。
そんな時、ミス発覚。裁断したが縫いあがったものの長さが足りない、椅子が覆えないとのこと‥。相方の研修生が間違えたらしい‥。手伝ってくれなかったらもっと大変だけど、このミスで精神的に追い込まれる。でも、だれも何も食べ物を運んできてくれないのに、彼女は私に本当に気を遣って、バックステージのちょっとした食べ物を持ってきてくれる。だからとっても感謝している。
15時のショーなのに13時半くらいから他のスタッフから急かしが入る。話しかけられたって答える暇も無い。そう思いながら、作業。英語で話しかけてきたスタッフに冷たい口調で、話しかけないでと英語で答える。どうせならフランス語にしてくれぇぇ。
なんとか作業を終わらして、緊張からかしばらく自分のテンションが変だった。友達が差し入れを持って来てくれたけど‥なんか緊張が解けず、申し訳ない感じ。何とか食事をして落ち着き、ようやくショーを見れる状態になった(体調も、気持ちも)。
とにかく、ショーを見て、明日のために材料を用意してミシン脇に置き、早めの帰宅。明日は普通に作業していれば夜のショーに終わるから。
睡眠時間1時間半なのに、友達とウインドーショッピングの約束をして、遊ぶ始末。夕飯まで一緒に食べて、結構いい時間に帰宅。
とにかく疲れたぁ。明日も頑張る!
最近のコメント