パリ留学日記

さて、パリの留学を決めた当時の話をし始めたけど、今日はまた脱線。私の指貫（ゆびぬき）、和裁用のについて‥。

私には金属アレルギーがあるらしい。病院で検査したわけではないので、どの金属の何とは言えない。ただ、ピアスもネックレスも銀以上（金やプラチナも一部可、純度によってはプラチナもダメ）でないと痒くなる。安カワと言われるものはことごとく付けられない。今の時期は汗で、ネックレスは常に汗疹状の湿疹の心配がある（これは素材もだけどチェーンの形とかでもチクチクする）。

そんななか、文化の1年生のときの夏休み、悲劇は起こった！？　夏休みの宿題に『何か1着作る』という漠然とした課題があった。文化の1年生の1学期は原型とパターンの基礎、ワンピース（綿・裏地無し）しか作っていない。だから当然ワンピースを一着作った。

作っているとき、学校で教材で購入した真鍮の指貫をしている中指が痒い。指貫をはずすと、水脹れができていた。何も傷もなかった指が、いきなり腫れている。作業を続けて水ぶくれが破けると、さらに自体は酷くなるのが目に見えている。慌てて絆創膏を張るけど、そうすると当然指がその分太くなり、指貫がはまらない。

指貫もはめられず、水脹れも痛く、指に力が入らない。これから先の作業に不安を覚えて、私は銀のアクセサリーに詳しい友人に、手作りのシルバーアクセサリーを作ってくれる店を聞き、無理を承知で指貫の型を取って銀で再生してもらった。もの凄く高い指貫が出来た。　でも、これにはアレルギーが出ることも無く、名前を入れてもらい、常にネックレスに通し、それから今の学校を卒業するまで使い続けた。

しかし今回の学校の卒業審査を終えた翌日後の打ち上げの日、なんとネックレスの金具がちゃんと留まっていなかったのか、チェーンが服に引っかかってはいたものの、そこに通してあったペンダントトップと指貫、全て落としてしまったのだ。ちなみに、落とした物の総額は５万円くらい。クロム・ハーツのチャームもあったりして‥。

とにかく、研修が始まるまでに何とかしないとと、日本に連絡。以前のお店には連絡が付かないので、母が知っている手作りアクセサリーの店に以来。型を取って作ってくれと何度頼んでも、板に点をつけたお粗末な指貫を作り私はあきれて文句を言う始末。なんとか型を抜いて作った物は、少し不恰好だか何とか使える品物になってきた。

それでも、初めの品物が良かったので納得がいかず、同時に田中貴金属（銀座本店）に手紙を書いて事情を説明して、発注した。ココはずっとプラチナの積み立てをしていたから、仮に工賃が高くても安心して頼めるし、なんといっても技術が並じゃない。商売道具で特別なものだから、もうお金はどうでも良かった（もちろん現実はそうもいかないけど）。とにかく『道具としての指貫をきちんと作って欲しい』と注文した。それまでは、手作りアクセの店のでガマン。

それが１ヵ月半待ってやっと今日出来た。工業用・職業用指貫と手芸店で売っている指貫より、完璧な指貫が出来てきた。これが本物の指貫だと言うくらい。

なんといっても、今までの中で最高の指貫で、工具としての本当の美しさがあると思った。モデルとなっている指貫より指貫らしい感じ‥伝わるかな？

大袈裟かもしれないけど、私はこんな境遇なので、パリの蚤の市でも洋物・刺繍用の銀の指貫を片っ端から見ている。状態が良くサイズがあう場合は、購入している。このタイプのものは使いにくくてやっぱり和裁用のものが良いんだけど、見つけたときに買っておかないと、現在では手芸店においていないから。刺繍も好きなので、いつか必要となると思っている。

本来は古い指貫をコレクションする人が買う（私も陶器のものとか集めていないわけではない）。でも銀の指貫のなかには本当に沢山使われたんだなぁというものもある。そういうものはとても指になじむし、歪んだくぼみでさえ綺麗だと思う。お店の人も、私がコレクション目的ではないことをすぐに見抜く。『あなたは本当にこれを使うんですね』と言って、磨いて渡してくれるとき、とても幸せな気分になる。

まっ職業病だな‥。そんなわけで、次は‥これを通す銀のチェーンに出会いたい。今度は落ちないやつ！！！（留学の話はまた明日！）ちゃお。