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SBUデザイナーとの交流記・前編

まず、「SBU」をご存知でない方のために、簡単にブランドを紹介したいと思います。
「SBU」は、1996年に、兄のクリスティアーノ・ペルフェッティ氏と弟のパトリッツィオ・ペルフェッティ氏がローマでスタートしたジーンズブランドです。「SBU」とは「STRATEGIC BUISINESS UNIT」の略称で、日本国内ではデガジェが窓口となっています。このブランドのジーンズには、レザーパッチや後ろポケット部分の飾りステッチが無く、内側に白い顔料ペイントで「SBU」とだけプリントしてあります。その理由は「アイテムを見ただけでうちのだとわかるはず」とのこと。日本国内での価格は、概ね 1本 30,000円程度で、いわゆるプレミアムジーンズに該たるものであるといえます。
尚、ペルフェッティ兄弟は 1990年にワークショップを設立し、1992年にはアウトレット店を、1993年には旗艦店をオープンしたそうです。
既に何度か当サイトの掲示板等でも記載していますが、穿き心地が良いということと、サイズやシルエットが自分好みであるという理由で、私は以前から「ACE(エース)」という型を愛用しており、色・加工・素材違いで 5本ほど所持しております。ジーンズブランドとしては、個人的に最も好きなブランドであるといえます。
そして、今回、イタリアに行くこととなったので、良い機会であるし、事前にショップの住所を調べ、我が愛しの「SBU」のオンリーショップを訪問することにしてみました。

ファサードの様子
2005年9月16日、まず、1度目のショップ訪問を敢行しました。ローマのテヴェレ川沿いにある、ナヴォーナ広場にほど近いところに、ショップはありました。事前に地図で細かく調べていたこともあり、特に迷うこともなく、メモしていた住所には、意外とすんなりと到着することができました。
ただ、ショップの前に看板等が見当たらなかったので、一瞬、本当にショップに辿り着けたのかどうか不安でした。それでも、ディスプレイにジーンズが展示されているのを発見したので、とりあえず間違いないだろうということで、思い切って突入してみることにしてみました。

店内の様子
店構えは、カジュアルブランドであるにも関わらず、思っていたよりも落ち着いた感じで、ディスプレイに日本刀が横たわっていたり、草履が飾ってあったりして、何とも日本風。店内も、間接照明で暗めに明かりが照らされ、床も白・黒・赤の三色のタイル張りでレトロな感じを醸し出し、壁には「やきとり」とか「もんじゃ」とかと書かれた暖簾が掛けられていたりして、これも日本風。
どうやら、このブランドのデザイナーは日本贔屓らしいぞ、という好感触を得つつ、店内を見回すと、若くてハンサムな男性販売員さんが。お決まりの「ボンジョールノ」の挨拶を満面の笑顔でお見舞いしつつ、店内の商品を観察していくと、ジーンズだけでなく、ジャケットやニット(ジョンスメドレー(JOHN SMEDLEY)とのダブルネーム)、TシャツやロンT、ブルゾンやコート、ベルトやバッグ、カジュアルシャツやドレスシューズ(トリッカーズとのダブルネーム)、下着まであり、その商品展開の多さにまず驚きました。ちなみに、日本(都内)では、ジーンズ以外はほとんどお目に掛かることがありません。

レディースフロアの様子
メンズの商品が豊富にある、というだけでもかなりテンションが上がってきているのに、店内横手にある通路をくぐると、何とレディースまで扱っているではありませんか。しかも、メンズと同程度の品揃えです。何から何まで期待以上で、最早テンションはかなり上がりきってきました。
日本(都内)では、「SBU」のレディースは、ジーンズすら一部のショップでしか発見できないということで、私と一緒にショップに訪れた連れは、ジーンズを購入すべく、展示アイテムを色々と物色し始めました。
連れがジーンズを物色していると、先ほどの若い販売員とは異なる、グレーのTシャツにジーンズ姿の、スキンヘッドのハンサムな中年男性スタッフが声を掛けてきました。こちらが好みのジーンズのイメージを伝えると、その男性は、スラスラと淀みなく商品の説明をしてくださり、好みに合いそうなジーンズを 2、3本用意してくれました。それを手に、連れは試着室へ。
私はというと、メンズのジーンズは残念ながら日本でも扱いのあるものが多かったので、ジーンズの試着・購入は泣く泣く断念し、Tシャツ等を購入することに決めました。
というわけで、連れがジーンズを試着している間、私はTシャツ等の物色に入ったわけですが、Tシャツの選別に時間はさほどかからず、ボォ~ッと待っているのも勿体無かったので、先ほどの中年男性スタッフと色々とお話をすることにしてみました。

さて、何から話そうかな、と思っていると、親切にも、その中年男性の方から話しかけてきてくれました。
 「君は日本人かい?SBU が好きなの?君が穿いてるジーンズには見覚えがあるよ。」
その日、確かに SBU のジーンズを穿いて行っていた私は、とても嬉しくなりました。あの話は本当だったのか、と。見る人が見れば本当に区別が付くものなんだな、と。ちなみに、連れは Levi’s のジーンズを穿いて行っていたのですが、こちらには最後まで「見覚えがある」とは言わなかったので、単なる偶然であるとは思えません。
嬉しくて興奮するのを感じつつ、私は笑顔で答えました。
 「ええ、日本人です。私は、SBU が大好きなんですよ。この ACE だけで 5本も持っています。」
すると、その中年男性も嬉しそうにこう言いました。
 「へぇ~、そうなのかい?僕も SBU が大好きなんだよ。ところで、それはどこで買ったんだい?」

以下、次のように会話が続きます。
私:「これは日本で買いました。イセタンで。シンジュクイセタンってご存知ですか?」
男性:「シンジュクイセタンだね。もちろん知っているさ。そうか、イセタンで買ってくれたのかい。」
私:「はい、5本買いました。」
男性:「そう、5本も。それはありがとう。そうだ、君に会わせたい人がいるんだ、ちょっとこっちに来てごらん。」

その男性に付いていくと、レディースフロアの奥のスタッフルームの扉を開け、中にいた男性に私を紹介してくださいました。この男性は淡いブルーのドレスシャツにジーンズ姿で、やはりスキンヘッドのハンサムな方でした。SBU のスタッフはハンサムな方ばかりだなぁ、と、感心してしまいました。
さておき、この方がどなたであるか正確には把握しないまま、挨拶を交わし、数分会話して、握手までしていただいて、部屋を出ました。その後、ふと疑問に思い、先ほどのグレーのTシャツの中年男性スタッフの方に、思い切ってこう尋ねてみました。
 「あの方は SBU のデザイナーさんですか?」
すると、その男性は笑顔でこう答えます。
 「うん、もちろんそうだよ。そして、同じく私もデザイナーだよ。」

またやってしまった。そういえば、デザイナーは 2人いるんだったよなぁ‥‥。以前にも経験がありますが、事前にデザイナーさんのお顔を確認しないでブランドを訪問すると、ほぼ確実に痛い目に合うのですね。とりあえず、デザイナーのお顔を知らなかったことについては、お茶を濁しつつ、その場を取り繕ってみましたが、本当に次回こそ気を付けねば、と思いました。ちなみに、後で訊いたところ、グレーのTシャツの方が弟のパトリッツィオ氏で、オフィスの中にいた淡いブルーのドレスシャツの方が兄のクリスティアーノ氏でした。道理で商品説明が淀みないわけです。
そうこうしているうちに、連れの試着大会は進んでいきます。連れはそれほどジーンズを穿く人ではないので、どうしても、キツめのジーンズを穿くことに抵抗があるようです。しかし、パトリッツィオ氏は、「ジーンズは穿いているうちに身体に馴染んでくるからジャストサイズの方が良い」と、優しく諭してくださいます。また、「この色の感じが君に合っている」と、笑顔で薦めてくださいました。
結局、パトリッツィオ氏のお薦め通りのサイズと色を購入することにし、パトリッツィオ氏自ら裾上げをしてくださり、後日、出来上がったジーンズを受け取りに来ることになりました。
その他、私も Tシャツを数枚購入し、さらにお土産用に Tシャツを何枚か購入したところ、ご褒美に(?)SBU のパンフレットを数冊くださいました。
すっかり上機嫌になった私達は、数日後の再訪問を楽しみにしつつ、お店を後にしました。尚、本当はこの日に取材許可の依頼をしておきたかったのですが、あまりに興奮しすぎて、お願いをする機会を逸してしまったので、次回にお預け、ということになりました。
ところが、お話はこれだけでは終わりません。数分後、連れが試着室にバッグとコートを忘れたことに気付き、慌ててお店に取りに帰ることになってしまいました。その時、店内にいた兄のクリスティアーノ氏が、真顔で「ローマでは気を付けないと駄目だよ」と真剣に忠告してくださいました。

それにしても、SBU のデザイナーさんは本当によい方達で、ますます SBUが好きになってしまった 1日でした。次回の訪問が楽しみです。
(続く)

SBUデザイナーとの交流記・後編

ファサードの様子
住所: 68-69, Via DI SAN Pantaleo, 00186, ROMA
[地図を見る]
Tel: 06-68802547
営業時間: 10:30-13:30、15:30-19:00(月曜15:30-19:30)
休日: 日祝、8月休
URL: https://www.sbu.it/

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