この記事を読む人に言っておく。
この本を読むとき覚悟しなくてはいけない。
一人で読むか、愛する人の前でしか読んではいけない。
最近、連続してリコメンドを目にする機会があったのでamazonで購入した。
amazonでコメントが100を超えていることからしても、この作品のインパクトがうかがえよう。
ヒロシマの話である。
夕凪の街・桜の国1・桜の国2と短編があり、それぞれ原爆後10年後、40年後、60年後(現代)を描く。
最初の「夕凪の街」
被爆後10年経ったある女性。平野皆実。
貧しさの中でも、健気で幸せに生きているように見える。
職場の男性から恋心を抱かれ、遠まわしに告白される。
しかし彼女はそれを受け入れることが出来ない。
原爆投下によって「死ね」(爆弾を投下するということは、そういうことである)と思われたのに生き残ってしまった。
そして死体の溢れかえる街で、生き延びるために隠した、人の心。
「私の住む世界はここではない」
そう自分を否定する皆実を、ようやくその彼が救ってくれた。
しかし、その直後皆実を蝕む放射能。
「てっきり私は、死なずにすんだ人かと思ったのに」
マンガ史に残る作品というのは間違いない。
映画化が決まっているそうだ。
はだしのゲンという歴史的マンガは、著者の被爆体験から、原爆への怨念を込めた作品であった。
しかし、この「夕凪の街桜の国」の作者は広島出身ではあるけれど、被爆者ではない。
それでもこの作品が価値を持つのは、はだしのゲンとは逆に、当事者でないからこそ、それを知らない人に知ってもらわねばならないという強い気持ちがあるからだろう。
これを読んであなたの心に感じたそれを、静かに飲み込まないといけない。
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