まじめに生きるって…

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よくよく考えてみると、真面目に生きるというのは、定職に就き、それによって安定した
収入を得るという事では無いのだけれど、傍から見るとそういう風に「定職を持って生活して
いる人だから」と真面目だと思うというのはおかしな話だ。

学生時代に警備のアルバイトをしていた。
色々な人がいて、盗難車を扱っている人、パチンコの裏ロムを組んでいる人、ドラッグを
売っている人。そんなキワドイ人たちが居た。
まあその会社の警備部長自体が、人身売買を前職にしていたのだから、そういった妙な
人々が集まるのも当然の成り行きかもしれない。


そういった立場だけを見ると近寄りがたい人たちなのだけれど、得てしてそういう人たちは
身内にやさしいもので、随分と可愛がってもらった。
幸か不幸か、彼らのキワドイオシゴトに触れる事はなかったけれど

その仕事仲間に当時27歳だったろうか?Oさんが居た。
Oさんは警備員のバイトのみで生活をしていて、たまに怖い表情を見せるが、普段は朗らかで、
「兄ちゃん」と呼びたくなる感じの人だった。
「おれさぁ、今まで面接というもので落ちた事が無いんだよね~」と自分で言うように、とても
人当たりが良く、仕事も出来た。

そのOさんと一緒に警備しているときにこんなことを言った。
「まわりの仲間はさ、いわゆる真っ当な仕事に就いていてさ、同窓会で会うと『Oもそろそろ
まともに働けよ』なんて言ってくるんだよな。そんでそいつの職業は銀行員だったりするんだ。
だから俺は言ってやったよ『お前は良いよなぁ。やりたいこと見つかってそれをやってんだろ?
人の金勘定してるのが楽しいんだろ?すげぇな~、俺には面白いと思えないしできねぇよ。
俺はまだやりたい事が見つかってないし、今のこんな生活に満足しているよ』って。そいつ俺
の皮肉で黙っちゃったね」
これを聞いて「そうだよなぁ。本当は自分のしたい事ではないのに、自ら枷に嵌って『自分は
真面目に生きている』と正当化するって、全然まともじゃないよなぁ」と思った。

カヌーイストの野田知佑だって「自分の人生を真剣に考えたからこそ、会社勤めなんてしたく
なかった」と言っている。

そういう選択肢もアリな筈なのだ。どうして定職についていない人を不真面目だと言えよう?
実際には、やりたい事が無く、逃避としてフリーターをしている人も多い。
将来を考えようともしない輩が大勢居ることも事実だ。
今の若者、そんなに頭が良いヤツばかりじゃない。

ただ、やっぱりOさんのように世渡り上手で、世に迷惑をかけずとも生きていける人も居るし、
自分の夢を追求して「不真面目な会社員」よりずっと真面目に生きている人も居る。

何がおかしいって「学校を出たら定職に就かなければまともじゃない」と考える世の中こそ
異常なのではないのだろうか?

そうして、今の自分は真面目に生きているだろうか?と不安に思うのだ。


Comments

“まじめに生きるって…” への1件のコメント

  1. しもりんのアバター
    しもりん

    そういわれてみると、自分も定職に就いていない。(笑)それが自分の中で昇華されていれば問題ないのですが、そうでないみたいなので厄介です。人間意外と、自分のことがいちばんわからないような気がする。
    ま、こんな話はおいおい顔合わせたときにでもゆつくりしませうや。

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