Aski Kataski・・・展示会。

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パリコレクション期間中の10月9日、Aski Kataski(アスキ・カタスキ)の展示会に行って来た。

Aski Kataskiは、1年ほど前に雑誌で拝見して以来、
ずっと気になっていたブランド。
雑誌でみる度に記事をじっくり読んでは感心していた。

今回パリに滞在することが決まり、ショップ情報やブランド情報を集めていたとき、
目に留まった資料にAski Kataskiの連絡先が載っていたので、
思い切ってファショコン通信の名義で取材を申込んでもらったところ、
展示会に呼んでいただけることになったのである。

場所は、Aski Kataskiのデザイナー、牧野さんの住所兼アトリエ。

入口の開け方が分からず、電話をすると、デザイナー牧野さん本人が
建物の玄関まで出てきてくださった。
雑誌で見たことはあったものの、髪の毛を結んでいたので
ちょっとビックリ(雑誌では結んでなかった)。
雑誌で見るよりも、気さくで優しい雰囲気の人である。

アトリエに入ると、そこはアスキカタスキの雰囲気がいっぱいに漂う。

ハンガーにかけられている服達、トルソー、古い靴用のミシン、
使い込まれたソファーとサイドテーブル、古い整理箪笥に置かれたアクセサリー・・・
これから、商品をじっくり見れると思うとワクワクする。

私達のワクワクが伝わったのか、自己紹介もそこそこに、
デザイナーの牧野さんが
「それではこれから1点1点説明していきましょうか。」と。

1点1点!??

いままで接してきたデザイナー達とはワケが違います。

いつもは、1点1点みていく私達に対して「丁寧ですね~」と声を掛ける
デザイナーが多いくらいなのに、
牧野さんは「1点1点説明していきましょうか。」です。

説明がはじまる前から次元が違います。

そして、服の説明に入って行きます。
今回のテーマは「思い出の引き出し」。
英語で、「Drawer of Memories」である。

忘れていた思い出の引き出しを開けるきっかけを与えてくれる服、小物たちを、
いままでより多くのアンティークファブリック、小物、ボタンなどを使って
作成したとのこと。
前回の秋冬ではひとつひとつのアイテムに名前を付けたが、
今回のテーマでは、人それぞれにその服から思い出す思い出が異なるので、
アイテムに名前を付けるのをやめたのだそう。

以下に、いくつか印象に残ったものについて説明しようと思う。


これは、1920年代のアンティークリネンのキャミソール。
胸には、アンティークのカーテンを下げるために使われた
ウッドリングが付けられている。
ボタンも、軍用のボタンからいくつか選んで付けられたものなので、
1個1個風合いが異なったものになっている。
牧野さんは「ひとつひとつこうやって見ていくと、
文字が入ってたりして面白いんですよ。」とものすごく楽しそうに説明してくれる。


これは、紙のように薄くなめしたラムレザーと
アンティークリネンで仕立てたコルセット。
19世紀のカーテン用メタルリングを紐先にあしらっている。
普通、コルセットは、体を締め付けるように作られているが、
ボーンのかわりに靴底に使うベンズ革を使用することで、
着ているうちに、体に馴染むのだそう。
新しい発想のコルセットと言えるだろう。


これは、ヴィクトリア時代の銀色の女性用靴へのオマージュ。
この時代、シルバーとベージュを使った女性靴が見かけられたので、
その色使いをもとに作ったのだそう。
染料につけ込む特殊な染色を施したシルバーのラムレザーと
アンティークリネンが組み合わせられている。


19世紀に漁業で用いられていたリネンのネットに、
シャンデリアクリスタルを縫い止めたベスト。
クリスタルは、ひとつひとつ丁寧にネットに縫い付けられていた。
背面は、19世紀のメンズジレのディティール。
細いシルクサテンが襟刳りに使われている。


アンティークレースを1920年代の麻糸で繋ぎ合わせたベスト。
複数の種類のアンティークレースが縦に繋がっているので、
見た目はものすごく繊細に感じる。
繊細さについて質問したところ、
「1つ1つ留めているから大丈夫です。」と、
なんと生地を引っ張って見せてくれた。

この丁寧さにはマイッタ。
これらの商品を2人で量産しているというから驚きだ。


アンティークのものを使用したアクセサリーたち。
一番左は、19世紀の置き時計を巻くための鍵のネックレス。
アンティークの純銀製の指抜きやアンティークの木のボビンなどを
使ったネックレスもある。

パターンなどは、古い服やアンティークの生地をもとに
作成しているとのことであったので、
「リメイクはされるんですか?」と質問したところ、
リメイクは誰でもやっているのでやりません。」とキッパリ。

また、服を裏返してみたり、細部をみたりしたが、
手は抜いていないのでどこを見ていただいても構いませんよ」と笑っていた。
実際、どの部分を見ても、手縫いをしてあったり、
丁寧に縫い付けられてあったり・・と、
手を抜いていないことが一目瞭然であった。

個人的にポケットのない服が嫌いな私は、もうひとつ質問。
「このポケットは飾りですか?」
すると、牧野さんは、
「勿論使えます。使えないポケットは意味がないです。」と、
またも、ポケット好きには嬉しい発言をされていた。

最後は、恥ずかしがる牧野さんに頼み込んで
一緒に写真を撮っていただいた。

牧野さんも、「プロの方だと反応が面白くないけど、
今回はいろいろと聞いてくださるので新鮮でよかったです。」と
まんざらでもなさそうな感じで嬉しかった。

同じ年齢なのに(これだけで親近感が湧きます)、
遠くの地でこんなにも頑張っている人がいることにとても感動してしまった。
そして、彼こそは、私が今まで知り合った中でも
1番の服好きなんだと思う。


細かな服を作ることに対して質問したときの、
「いや~。本当、楽しいですねえ。」とニコニコした笑顔は、
いまでも忘れられない。

彼と会った時間を、私の思い出の引き出しにしまいたいと思う。

パリコレのレポートはこの記事でおしまいです。
つたない文章でしたが、読んでくださった方、ありがとうございます。
コメントがあれば嬉しいので、ご意見・ご感想をお待ちしています。

なお、以後は、イタリア~パリのショップ情報も書いていきたいと思います。
こちらも、海外旅行の際などに見ていただけると幸いです。

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16件のコメント

  1. いやぁー素晴らしい!
    感動ですね…
    本当大好きです。
    お店に並ぶ日が待ちどうしいです。
    自分もデザイナーを目指す一人として心底尊敬出来る人です。
    詳しいレポートありがとうございました!いい刺激になりました!

  2. >あ さん
    本当に牧野さんはすごい方でした。
    私のつたない文章のせいで、うまく伝わらなかったんじゃないか・・と不安です。

    あさんはデザイナーを目指していらっしゃるのですね。
    牧野さんを尊敬できる人としてあげるなんて、またお目が高いですね(笑)
    いつか、あさんの展示会を拝見できることを期待しておりますので、頑張ってください。

  3. いやー相当わかりやすく写真も見れて一人で感動してました…
    やこさんにそんな事言ってもらえてうれしいです。
    今はテキスタイルの仕事をしながら夜間でパターンと縫製を学んでいます。
    まだまだ素人ですがいつか一発かまします!

  4. Aski Kataskiの服を一着今年の春に購入し気に入って着用していたのですが、今回のやこさんの記事を読ませていただいて、これからももっと大切に長く着ていきたいと思うようになりました。
    牧野さんの創る服に出会えたことを本当に嬉しく思います。この記事を書いて下さったやこさんにも感謝です。

  5. みなさんの熱意にうたれてついに書き込んでしまいました。『装苑』で神戸のファッションコンテストを見たときから気になっていたのですが、以後『装苑』や『ハイファッション』で特集されるたびに食い入るように読んだことを思い出します。本当に素敵なデザイナーさんになられましたね。服を見たく着たく思っているのですが、ぼくが男ということもあり、なかなか実現にいたっていません。こんどメンズも手がけるということを聞いているので待ち遠しいかぎりです。
    やこさんには、素晴らしい写真と記事を見させていただき、ありがとうございました。

  6. 皆様、コメントありがとうございます!
    反響があって、とても嬉しいです。

    >あ さん
    写真は、一部牧野さんに頂いたんですけどね(笑)
    自分じゃあんなに綺麗に撮れません・・。

    お仕事に夜間学校、とても大変なことだと思いますが、頑張ってください。

    >アヒルさん
    Aski Kataskiの服を持っていらっしゃるんですか!!
    羨ましいです・・。
    その服持参で、会いませんか(笑)

    牧野さんは、一度だけ、ご自分の服を着た方を見たことがあるそうですが、
    むちゃくちゃ嬉しかったとおっしゃってました。
    アヒルさん、大切に着てあげてくださいね。

  7. >hiroさん
    hiroさんも以前から牧野さんに注目されていたんですね~。
    お仲間です(笑)

    ファショコン通信やUGも、ASKI KATASKIの記事を書かれているので、
    そちらも読まれるといいと思いますよ。

    ファショコン通信:http://www.tsushin.tv/report/aski06ss/
    UG:http://blog.tsushin.tv/ug/2005/10/27/344/

    ちなみに、牧野さんにメンズの話を聞いたところ、
    いまのところ、レディースで手一杯で、メンズはまだまだ・・・といった感じでした。
    しばらくかかりそうでしたよ。

    また何か情報がありましたら、随時ブログに書きたいと思います。

  8. うおおおお~
      久しぶりに感動しました。このような、かなり濃い記事記事本当にありがとうございます。。。
    どの雑誌よりも興奮いたしました。
     僕は、京都にいて、アスキカタスキの作品をリアルタイムに拝見できナインです。なので羨ましいです。でも先輩でアスキの服を持っている方がいて、一度みせてもらったんですが:
     もう見ているこっちが幸せな気分になれる感じで最高でした。やっぱり技術が素晴らしいですよね。
     なんか、飾っているだけで作品になるなんて あと着る手の事を考えたデザイン(裏の生地を起毛にしてるとか)もう完璧。
     この感動を共有できないのが本当に残念です。 男なので
    本当に僕もアトリエにお邪魔してみたいです・・・そして雑用でも何でも手伝いたいです
     なんか意味のわからない文章ですみませんでした(-人-)
      本当にありがとうございました☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
      

  9. >リツさん
    コメントありがとうございます。
    至らぬ記事ですが、感動していただいて嬉しいです。

    一応、牧野さんは、将来的にメンズも考えていられるようなので(まだ未定とのことでしたが)、
    気長に待ってみてください。

    私も雑用でもお手伝いしたいのはヤマヤマでしたが、かなり優秀なパタンナー(もとエルメス&マルジェラ)さんとぼちぼちやっておられるようです。
    あ。あと「ネコ」という名の猫がおりました。

  10. 僕も先日、アスキカタスキの2005秋冬のきりっぱなしのレザージャケットを購入いたしました。
    もうほんまにヤバイです!
    一番に好きなブランドになりました。
    また新たにアスキカタスキの情報が入りましたら特集してください。

  11. たけをさん、こんばんは。
    レザージャケットうらやましいです!!
    今回の春夏でも素敵なレザージャケットを展示会で拝見したので、
    狙っていたんですが、私が行ったお店では取り扱いがなく、残念でした。

    またパリに行く際には是非取材したいと思っています。

  12. やこさん、こんにちは。
    私も牧野さんの作品は大好きです!
    今度パリでファッションの勉強するので、もしよろしければ牧野さんの連絡先を教えていただけませんか??
    アトリエの住所でも構いません。
    お願いします。

  13. こんばんは^^はじめまして。突然ですが、知っておられましたら、教えて下さい。Aski Kataskiの洋服の取扱いをしているお店は、日本にありますか?ランプさんは除いてですが。。。
    雑誌で見たワンピースがほしくって問い合わせたのですが、通販が無理ということでした。よろしければ、教えて下さい。よろしくお願い致します。

  14. >ヒロミさん
    今回は取材ということで牧野さんと連絡を取らせていただいたので、
    一般の方に牧野さんの連絡先を教えるのは控えさせていただきたいと思っています。
    お役に立てなくてすみません。

    >あきこさん
    私もランプ原宿にしか行ったことがないのですが、
    大阪のCAVANEというSHOPに置いてあるそうです。

  15. こんばんは。初めまして。私は今月号の装苑で知ったのですが物凄く素敵で気に入ってしまいましたo(^▽^)o
    取扱店にちょっと問い合わせしようと思います!

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