ポールスミスは中々微妙なブランドです。
ファッションに興味を持ち始めた頃は立派なブランドに思え、モードを追求し始めるとイマイチに思え、さらに達観すると「なるほどすげぇな」と思えました。
ポールスミスはグラフィック的に優れたデザインを多く生み出します。そしてそれは良く「ユーモア」という言葉で語られます。
ファッションに興味を持ち始めた当初は、それが分かりやすく、シルエットもスマートなので飛びつきやすい。(また、彼の服には品がありますから)
しかしモードというものにはまってゆくと、もっと斬新なカタチ、素材がある事が分かり、ポールスミスのデザインは工夫が無いように思えてしまうのです。「なんだ普通のカタチした服じゃないか」と。
そうするとなぜポールスミスがモードの世界でも一流として評価されているのかが分からなくなります。
「なんでドリスヴァンノッテンの店の最上階に置かれているのだろうか?」「なんで他のデザイナーからリスペクトされているのだろう?」「彼はモードにおいてどんな功績を残したのだろう?」そんな疑問。
私があるとき気付いたのは「このブランドはデザインの奇抜さ、目新しさで勝負しているのではない」という事。
始めに述べた「羽目をはずしたグラフィカルデザイン」と「羽目をはずさないカタチ」というのがここの売りなのではないでしょうか?そしてオトナが着られる服であるという事。
彼の功績はユーモアを品を損なうことなくモードに落とし込んだことでしょうか?
現在雑誌で下火になりつつあるのは彼の特徴であるキレイ目という特徴よりも、「着崩す」のがお洒落という風潮になってきたからだと推測します。
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