ポールスミスというスタンス

ポールスミスは中々微妙なブランドです。
ファッションに興味を持ち始めた頃は立派なブランドに思え、モードを追求し始めるとイマイチに思え、さらに達観すると「なるほどすげぇな」と思えました。

ポールスミスはグラフィック的に優れたデザインを多く生み出します。そしてそれは良く「ユーモア」という言葉で語られます。


ファッションに興味を持ち始めた当初は、それが分かりやすく、シルエットもスマートなので飛びつきやすい。(また、彼の服には品がありますから)
しかしモードというものにはまってゆくと、もっと斬新なカタチ、素材がある事が分かり、ポールスミスのデザインは工夫が無いように思えてしまうのです。「なんだ普通のカタチした服じゃないか」と。
そうするとなぜポールスミスがモードの世界でも一流として評価されているのかが分からなくなります。
「なんでドリスヴァンノッテンの店の最上階に置かれているのだろうか?」「なんで他のデザイナーからリスペクトされているのだろう?」「彼はモードにおいてどんな功績を残したのだろう?」そんな疑問。

私があるとき気付いたのは「このブランドはデザインの奇抜さ、目新しさで勝負しているのではない」という事。
始めに述べた「羽目をはずしたグラフィカルデザイン」と「羽目をはずさないカタチ」というのがここの売りなのではないでしょうか?そしてオトナが着られる服であるという事。
彼の功績はユーモアを品を損なうことなくモードに落とし込んだことでしょうか?

現在雑誌で下火になりつつあるのは彼の特徴であるキレイ目という特徴よりも、「着崩す」のがお洒落という風潮になってきたからだと推測します。

いずれにせよ、いつでも(何歳になっても)安心して着られる服であるという魅力は、素敵だと思います。→


Comments

“ポールスミスというスタンス” への4件のフィードバック

  1. ポールスミスの服はジャケットとシャツを各一着持っています。私の場合、ギャルソンが好きなせいか、ポールの服はまったく普通の格好に見えました。でも、服地のデザインで遊んでるなと思いましたよ。それで、すっきりした春夏のデザインのジャケットを買うことにしました。シャツもそのときにジャケットに合うものを探して買いました。彼は川久保さんと仲が良いみたいですが、たぶん、互いに無いものを持っているせいだと思っています。

  2. 仰る通りポールスミスは生地のプリントやカラーリングデザインで遊んでいて、コーディネートで洒落る服だと思います。
    カタチに関しては変哲は無いですね。それなりに考えてはいるようですが、「中庸」と言えます。

  3. 私が買っていた頃の92〜95年頃はポールは大人の服でした。テーラードの品質を楽しみながらも堅苦しく無い大人感覚の遊び。タイやカフス、ドレッシーなシャツにハンカチーフといった、当時の日本人には縁の薄かった小物から気軽におしゃれを楽しめるブランドとして画期的だったと思います。当時のUAやビームス等で買うよりかは楽しかったですね。それに、その頃、買った物は、今でも歳を重ねる度にイイ感じになっていますし…(w そうそう、フォトプリントのテキスタイルを使ったYシャツやTシャツは当時では、画期的な事でした。この点はポールが一早く取り入れていたと思います。それと、ニットも人気でしたよ。APCで買うか、ポールのコレクションで買うか…。特にモッズ時代のニットは可愛かった…。でも、絶頂期が過ぎた97年ぐらいからかな?いきなり、マンネリになったというか、デザインも素材の質もガクっと下がった記憶があります。その位から学生さんのブランド・・という印象になりましたね…デザインカラーも、なんかガラッと変わっちゃって、スポーティーになった様な…当時、残念だなぁ…と思いました。ちなみに、当時は、ポールよりも、ワンランク上のブランドとして、ドリスがあったと思います。ドリスは当時の私には、憧れでしたね。

  4. そうそう、ポールのグラフィックスですが、これは、ポールスミスがデザインしているというよりも、ロンドンでは有名所のグラフィッカーによるデザインが多い様です。上記で述べた頃には、アンディーウォーホールのプリントT(ユニクロじゃ無いけど…(w)なども、やってました…(w
    DM等はここのグラフィッカーが作っているんですけどね。
    http://www.aboud-sodano.com/
    WORK項目にポールとR NEWのリーフレットデザイン等の作品が見れます。

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