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SBUデザイナーとの交流記・後編

2005年9月20日、先日に引き続き、2度目のショップ訪問を敢行しました。名目上は一応、裾直しに出していたジーンズを受け取りに行く、ということになってはいましたが、私としては、とにかく何とかして取材許可を得ようと、概ねそのことばかり考えていました。
そのような野望を抱きつつ、SBUのショップに足を運んだわけですが、ほんの数日前に訪問しただけあって、今回はほぼ最短距離で辿り着くことができました。そして、思い切って店内突入。
すると、今回もやはり、始めはパトリッツィオ氏はおらず、若い男性販売員が店内でお出迎え。私は個人的にパトリッツィオ氏に用があるので、その販売員に彼を呼んでくれるようにお願いすると、すぐにパトリッツィオ氏が笑顔で姿を現しました。

とりあえず、ひとしきり再会を喜ぶ挨拶を交わし、連れは出来上がったジーンズを試着しに、試着室へ。ここがチャンスだとばかりに、私は持参した名刺を渡し、日本でファッションサイトを運営していることを告げ、SBUのブランド情報やデザイナーの情報、及び、今回の訪問についてレポートを書きたい旨を告げました。
すると、パトリッツィオ氏は快く引き受けてくださり、クリスティアーノ氏とパトリッツィオ氏の生年月日や出身地、ブランドの歴史等について教えてくださいました。

デスクの様子
そうこうしている間に、連れは試着を終え、デジカメを片手にレディースフロアの奥にあるオフィスへと進入し、オフィス内にいたクリスティアーノ氏に、片言の英語でちゃっかりオフィス内の写真撮影をお願いしています。心優しいクリスティアーノ氏は、遠い異国の地から来た、過剰なまでにフランクな日本人の唐突なお願いを、嫌な顔一つせず快諾してくださったようで、調子に乗った日本人は、パシャパシャとオフィス内の写真を撮りまくります。
私も私で、ここがチャンスだとばかりに、クリスティアーノ氏に私の素性を告げた上で、写真撮影等のお願いをし、これも快諾していただきました。ついでに、SBU のジーンズがどこで生産されているのかと訊いてみたところ、日本の生地を用いて、イタリア国内で生産・加工している、と教えてくださいました。クリスティアーノ氏曰く、「日本の生地はナンバーワン」だそうです。
さらに、我々は、調子に乗りまくって、クリスティアーノ氏の椅子に座らせていただいて、記念撮影までしてしまいました。ちなみに、茶色い椅子のシート部分は、インディゴのせいでところどころブルーに染まってしまっていました。

絵画の様子
オフィス内は、レディースフロアの延長にあるので、レディースフロアと同じく板張りで、実際に使用することはできないものの暖炉まであります。壁には金の「SBU」の文字が輝き、ところどころに絵画が飾ってあって、極めてオシャレな造りになっています。
オフィス内の撮影を終わって、クリスティアーノ氏の名刺をいただき、それでも我々が物足りなさそうにしていると、クリスティアーノ氏はオフィスの脇にある扉を開け、中庭へと案内してくださいました。中庭はタイル張りで、観葉植物やベンチ及びテーブル等が置かれていたり、壁には大きな手形の絵が描かれていたりして、これもまた何ともスタイリッシュです。我々は狂喜乱舞して、ここでも記念撮影をしてしまいました。

オフィスの様子
そして、さらにひとしきりお邪魔をし終わった頃、一旦オフィスを出ていたパトリッツィオ氏が、「これに SBU の歴史が詰まっている」と言って、緑色のリーフレットを手渡してくださいました。中を見ると、これまで SBU が掲載されてきた数々の雑誌のコピーが、整然とファイリングされています。もちろん、その中には日本の雑誌のコピーも混ざっていました。
私は感激して、パトリッツィオ氏とクリスティアーノ氏に何度もお礼を告げて、オフィスを退室しました。

店内の様子
オフィスを出ると、レジに出来上がったジーンズが、袋に入れて用意してあります。そういえば、今日はこれを受け取りに来たのだった、と思いつつ、最後に思い切ってこう質問してみました。
 「お2人は何故ブランドをやっていらっしゃるのですか?」
すると、パトリッツィオ氏とクリスティアーノ氏は間髪入れずにこう答えました。
 「それはもちろん、ファッションが好きだからだよ。」
その時、彼らは資料を読んだりしつつ独学でジーンズ作成の研究をしたので、始めはとても苦労をしたことも教えてくださいましたが、やはり好きでないと続けられないのだなぁ、と感じました。

お2人のお話に感心しつつ、ジーンズを受け取って帰ろうとすると、突然、パトリッツィオ氏が驚くべきことを口にしました。
 「そうだ、君を我々の展示会に招待してあげるよ。」
唐突な発言に私は思わず面食らってしまいましたが、もちろん、嬉しいに決まっています。ただ、私がコレクション期間中にミラノに来るのは恐らく今年限りで、来季以降に再び来るのは極めて難しい状況であることを告げました。
すると、パトリッツィオ氏はまた、驚くべきことを口にします。
 「いや、我々はいつも展示会はトーキョーでやっているんだ。だから何も問題は無いよ。」
こうなると、断る理由はどこにも見当たりません。聞くところによると、代理店(デガジェ)がいつも代官山に会場を借りるようで、来年2月に行われる展示会も、そこで行われるとのこと。ちなみに、ミラノでは展示会を一切やっていないようで、日本で展示会を行っている理由は、ブランドを国際的に展開する観点からだそうです。

今回、SBU のショップを訪れてみて、その内装や外観のスタイリッシュさに感心させられました。アイテムだけでなく内装にも拘っているところからすると、パトリッツィオ氏とクリスティアーノ氏は、本当に真剣に楽しんでブランド運営をなさっているのだなぁ、と感じます。そして、ジョンスメドレー(JOHN SMEDLEY)やトリッカーズ等とのダブルネームのアイテムを発売しているところからすると、他ブランドからの評価も充分に高いようです(「ジョンスメドレー(JOHN SMEDLEY)が SBU のためにニットを作ってくれた」とおっしゃっていました)。
また、我々が記念撮影等をしてお邪魔をしている間、クリスティアーノ氏とパトリッツィオ氏は、終始ニコニコしながら我々の様子を見守っていてくださっており、デザイナーさん自身も、とてもジェントルマンで成熟された方々だなぁ、と感じました。しかも、兄弟揃って極めて男前。前回にも増してこのブランドが好きになってしまいました。

本稿では既に何度も書いていますが、SBU のデザイナーさんは本当によい方達です。そして、彼らが繰り出すアイテム、特にジーンズは、品質・加工・シルエットのどれをとっても完成度が高いです。
そこで、私は自信をもってこう記したいと思います。

どのジーンズを穿くべきか迷っている方は、とりあえず SBU を試着してみましょう。きっと気に入ると思います。
少なくとも、私は SBU が大好きです。
(終わり)

ファサードの様子
住所: 68-69, Via DI SAN Pantaleo, 00186, ROMA
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Tel: 06-68802547
営業時間: 10:30-13:30、15:30-19:00(月曜15:30-19:30)
休日: 日祝、8月休
URL: https://www.sbu.it/

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