黒・Black・Noir

今期の東京コレクションをいくつか観に行った。
相も変らず黒ずくめのコレクションを発表するデザイナーがあとを絶たない。

それらを見るたび、飽いた気持ちになる。
どうしてその狭く奥深いところに、入っていってしまうのか?

形、素材、色とファッションの重要な要素であるのに、どうして色を排除するのだろうかと、いつも思う。
(音楽で言えば、メロディ、ハーモニー、リズムからハーモニーを抜くようなものか)

曰く「黒は輪郭を際立たせる。シルエットを見せるのに最適」
曰く「黒は強い色だ。強い服を表現したかった」

言わんとしていることは理解できる。
(アカペラ・ソロで伝えたいということか)

山本耀司と川久保玲がモード界に登場したとき、欧米では「黒の衝撃」と騒がれた。



彼らの功績は、身体に沿わないフォルム、使い古したような素材などがあるが、最大の功績は黒の導入であろうと思う。
その点において、現在彼らの影響を受けていないデザイナーは皆無と言える。
それまでのモードの流れに黒は無かったのに、不可欠の色にしてしまったのだ。

彼らの登場以降、様々なデザイナーが黒にチャレンジし続けている。
何人かの偉大なデザイナーは、自分の黒を表現することに成功した。

「ヨウジ出身ということで、黒を扱うことは怖かった。
ダナキャランに彼女の黒があるように、自分の黒を表現しないといけないとプレッシャーがかかった」
というようなことを、かつて田山淳朗は語った。

今、黒を使わないデザイナーがいるだろうか?
私の知る限り、黒の不使用を謳ったデザイナーはジョゼ・レヴィ一人しか知らない。(今でも貫いているかはわからない)

黒に固執すれば、名だたるデザイナーと比較されることは避けられない。
特に黒を特別視してしまう私は「また黒か」と、それだけで落胆する。

黒ずくめにこだわらず、新しいモードを切り拓いていって欲しいと望む限りだ。

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ここからは私自身についてのことだが、19歳で黒い服をコーディネートから封印し、昨年で10年が経った。
これはひとえにジョゼ・レヴィの
「ファッションには色合わせの楽しみがあるでしょう?黒は他のデザイナーに任せて、僕は色を使うよ」
という発言を受けてのことだ。

ファッションに入門したての私は、安易に使われがちな黒に逃げず、オシャレを身に着けようとしばりをつけたのだ。
そう決めてみると、黒を使わないというのは、実はとても簡単なことだった。

好きになるデザイナーは、ステファン・シュナイダー、エイネット系など、中間色を上手に使うデザイナーが多くなった。

10年経って、そろそろ効果的に使えるだろうと、黒を解禁を試みたが、それはそれで特別黒が欲しいわけでもないので、あまり見当たらない。
サトシタナカでドライビングコートと、GOMME HOMMEで変形パーカーを買ったくらい。

これからは黒を上手に着てみたいが、相変わらず微妙な色が好きなのは変らない。

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純米吟醸にはまっています。
こちらは”黒”でもバナナのような馥郁たる香りの銘酒です。

最近グルメにはまっていて、あちこち旨い店を見つけています。
グルメブログにしようかしら?でも美味しい店は教えたくない気持ちもある。


Comments

“黒・Black・Noir” への5件のフィードバック

  1. 喪服以外に黒を初めて使ったのはシャネルだったように思うけど‥‥。
    まぁ、どうでもいいことだけどね。

  2. >ぷりま
    うん。でもモードの流れには組み込めていなかったよね。

  3. カウパーのアバター
    カウパー

    初めまして、いつも興味深く拝見しています。僕はモードといったら白と黒だと思っていました。モードとモノクロがごっちゃになっていたようです。知識がないので感覚的な話でした。

  4. そういえばヴェルサーチの人だったかな、カット、カラー、マテリアルを重視しているようなことを昔、雑誌で言っていました。私もカジュアルウェアは色を着るんだというくらいに思っています。実際、ディティールって近くに寄ってみないとわかりませんけれど、色は遠目にもわかります。そこで、色とファッションの関係を書いた本を2冊くらい読んでみました。カラーコーディネートは本格的に勉強すると大変ですが、この程度の本なら難しくないです。
    黒はね、やはり特別な日に着ます。

  5. ゲルゲのアバター
    ゲルゲ

    お初です。
    黒を封じて10年とは…
    自分も黒は出来るだけ使わないようにしてますが、カバンだけは黒になってしまう。
    中身を入れ替えるのがめんどくさいってのもありますが笑

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