実生活と実用途

生活様式に照らし合わせてモノを選択する知り合いがいる。

最初に聞いたのは時計について。
時計が好きだという噂を聞いてその話を振ってみたとき、
「俺はロレックスなんだ。
自分の身分(中小企業社長)を鑑みたときに、一番相応しいのがロレックスなんだ。
そしてオールドロレックスが多いな。
みんな流行で色々買っているようだけど、サーフィンしないのに、ダイバーズウォッチは要らないし、レースをしないのにクロノメーターなんて、必要ないだろ?」

次に聞いたのはビールについて。
「俺はサッポロ黒ラベルなんだ。
なぜなら俺は食事と一緒にビールをある程度の量飲みたい。
そうするとモルツやエビスみたいなモルト100%だと重くて量を飲めないんだ。
それに黒ラベルって意外に苦くないだろ。」

そうやって、選んでいるものには、いちいち自分の生活を考慮した理由があるようなのだ。


なんだかんだで見た目がカッコイイだとか、この機能もあった方が便利そうだからという理由でモノを選びがちだが、こうして徹底して実生活に見合ったものを選んでいる様子を見て一考させられた。

たとえばこれはよくある話なのだが、一人暮らしをする際にソファが欲しいと購入したものの、実際には床に座る生活がメインになり、ソファは衣類置き場になってしまう。
おそらくソファで生活することを考えて(夢見て?)購入したのだろうけど、実生活には相応しくなかったということだ。

お洒落な部屋の写真というものを見ていて、6畳の狭い部屋にイームズのチェアが何脚も置いてある部屋があった。
確かにビジュアル的には優れていたが、間違いなく移動する際にはジャマになっているだろうことがわかる。
これもイメージと生活様式の乖離が見られる一例。

私自身、合理主義なところがあって、なるべく自分の生活と実用途をつなごうとしている。
スーツを着て車を運転する仕事なので、ショートコートだとジャケットの裾が出て、膝丈では座るときにジャマになる。
ということで、昨年サトシタナカにてドライビングコートを買った。(流行ハズレなので中々見つからなかった)
日本の道を歩く際にレザーソールでは滑る機会が多いので、基本ゴムソールの靴を選ぶし、レザーソールにはゴムを貼ってもらう。

用途を徹底的に意識してデザインされているものには、永遠性を持つものが多い。
ワークアイテムやミリタリーアイテムに惚れ込む人が後を絶たない理由もそこにあるのだろう。
その理由が魅力的なのだ。

自身の選んだものアイテムと自分のスタイルをつなぎ合わせる理由があれば、それはとても大きな説得力を持つ。
そして私にはそれが、なんだかとてもかっこよく思えるのだ。

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MoMAでも商品が扱われている松井ニットの手袋です。
機能とデザインの融合に惚れて買ってしまいました。


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