世界を刺激する日本人デザイナー

かつてコムデギャルソンに在籍し、現在は作家となった鈴木 清剛が以前以下のように語った。

日本には世界の中心で活躍し、過去形ではなくて現在進行形で(←ここが重要なところ)、圧倒的な支持を得ているデザイナーが三人くらいいる。

衣服堂々(アサヒコム)より

日本のモード史上、偉大な功績を残したデザイナーは
<三宅一生><高田賢三><川久保玲><山本耀司>
この4人であろうことは、容易に推定できる。
また、オートクチュールでの森英恵も特別なデザイナーであろう。

ところが、現在においては高田賢三は(復帰の話はあるが)引退し、三宅一生もモードの一線を退いてA-pocに取り組んでいる。
森英恵はオートクチュールをやめた。

川久保玲、山本耀司は周知の通り第一線で世界を刺激し続けている。
となると、残る一人は誰を挙げているのだろう。


私は渡辺淳弥ではないかと推察する。

前回の記事(整の美、粗の美)において上記の4デザイナーはそれまでのモードの系譜に無かったものを持ち込み、西洋の美を崩す、いわば奇策であると論じた。
また森英恵も手法はオートクチュールそのものではあるが、ジャポニズムというアイデンティティで勝負したという点で、やはり西洋の土壌に対し真っ向から取り組んだとは言いがたい。
(森英恵は「日本人らしくあることを期待されたからその道を選んだ」と著書ファッション―蝶は国境をこえるで述べている)

さて、ここで渡辺淳弥はどうであるかというと、この人はきっちり西洋モードの系譜でデザインをしている人なのだ。

この人のデザインの特徴は
最先端のエッジの効いた素材(それはもう、フューチャリスティックと言えるような!)を、最先端の衣服製造技術と古典的なクチュールのテクニックをもって、、西洋流の美(整の美)を創り出すとこにある。

そして彼のデザインはしばしばテクノクチュールと呼ばれる。

その革新的なものを目指す姿勢は、間違いなく川久保玲から受けたものであるが、彼女とは確実に異なる方法で、かつ西洋の流儀で世界的評価を獲得したことに、私は畏敬の念を抱く。

ぜひ読者の方も彼のアーカイヴを鑑賞し、それを確認していただきたい。
【First Veiw】
2000 S/S
2000~2001 A/W
2001 S/S
2001~2002 A/W
2002 S/S
2002~2003 A/W
2003 S/S
2003~2004 A/W

なおこれ以前には、折り畳んでハンドバッグになる服や、鉄線をすだれのようにしフォルムを作った服などをデザインしている。

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Comments

“世界を刺激する日本人デザイナー” への13件のフィードバック

  1. ひっぽのアバター
    ひっぽ

    常々思うのですが、ジュンヤの作る女性の服は、男が作る女の服。そういう意味において、川久保玲のコムデギャルソンの対極にあると。基本的にセクシーですよね。

  2. 何か見覚えのある記事(引用記事)だと思ったら、
    私が掲示板で引っ張ってきたやつだね。
    UG君はあの時も「3人目はジュンヤ」と言ってたね。
    まぁ、そうだろうねぇ。

    でも「3人くらい」って何かね。
    2人なのか3人なのか4人なのか、
    ちょっと逃げた書き方だよね(笑)

    渡辺淳弥の服は確かに独特で美しいけど、
    モード史に名を残すようなデザイナーではなさそうな感じだよね。
    まぁ、個人的な感想だけど‥‥。

  3. 渡辺さんは日本人デザイナーですが洋服らしさを感じますね。もっと自由なほうがギャルソンらしいと思いますが。アンリミテッド:コムデギャルソンに寄せられた様々なコメントを読むと面白いです。THE STUDY OF COMME des GARCONSも面白かったけれど。

  4. >ひっぽ
    「男性の作る女性の服」なるほど、そうですね。
    異性をキレイにみせようというのは、確かに観点が違うのですね。
    私は男性の作るメンズ服よりも、女性の作るメンズ服が好きですし。

    >ぷりま
    3人くらいってことのは、確かにずるい書き方だね。
    さて、私は渡辺淳弥を歴史に残るデザイナーだろうと見込んでいるのだけどね。
    テクノクチュールというのは、明確で革新的だと思ってさ。

    >masato
    コムデギャルソンの名前を被せられているという点が、ちょっと曲者ですよね。
    津森千里は当初イッセイスポーツだったのをI.SにしてI.S tsumori chisatoにし、のちに桑原直でようやくI.Sも外れました。
    渡辺さんは「CdGの名を背負っているからには」という発言をオしていましたが、私はギャルソンらしくなくても構わないので、このまま彼らしさを出していってくれることを望んでいます。
    でもまぁ、CdGの後継者たりえることを考えると無理でしょうねぇ

  5. ギャルソンから出て行かないわけだから、現状に満足しているとも言えるだろうね。でも、川久保さんと比較してしまうと同じような地位を築けるデザイナーになれるかとなると難しいなと思います。今のままでは、やっぱり「ギャルソンの渡辺」じゃないかな。作風が違うせいか、川久保さんの服も渡辺さんの服も両方好きだと言う人はあまりいないようです。そうすると後を継ぐのは難しいと思うので、独立して成功する道を考えてもいいのではないかと思いますね。それくらいでないと、後を継いでも先が心配。

  6. >渡辺淳弥を歴史に残るデザイナーだろうと見込んでいるのだけどね。
    世界のモード史に?
    渡辺淳弥ってそんなに有名だったのか。

  7. 確かに渡辺淳弥氏の新素材へのこだわりは
    目を見張るものがありますよね。

    マツカサのようなドレスには鳥肌が立ちましたし、
    ぜひとも世界とは言わず歴史に名だたるデザイナーになっていただきたいものです。

  8. >masato
    川久保玲というのはデザイナーというより、もう革命者。
    クリエーターとして別格なので、そこは比較にもならないと思います。

    >ぷりま
    カラーズ展でも取り上げられたり、すでに片鱗を見せていると思いますよ。

    >Jun
    新素材かつ、あたらしい使い方ですよね。
    ジッパーをフィーチャーしたときもそうだし、撥水生地もそうだし。

  9. ひっぽのアバター
    ひっぽ

    私的には、カラーズ展のキュレーターであるVIKTOR&ROLFよりジュンヤの方が才能があるようにみえてます。でも、メンズは頂けませんね。

  10. ジュンヤについては評価は認めるけれど、残念ながらあまり好きではないデザイナーなんですね。
    確かにレディースでは高い評価をされているのも分かるし、クリエイティブを模索しているかもしれないけれど、メンズに関しては最善をつくしているとはとても思えないのですね。
    それと実際にジュンヤがオムのデザイナーに就任したときに一番最初にてこ入れしたことが、理由はどうあれ服の品質を落とすことだったんですよね。それ以後メンズに対するジュンヤのデザインは、信用できなくなってしまいました。
    総合的にはすごいデザイナーだとは思うけれど、メンズをもう少し本気でやって欲しいというのはありますね。

  11. >ひっぽ
    確かにメンズはいただけません。
    V&Rのメンズもですけどね(笑)

    >Alceste
    品質を落とすことだったんですか?
    それはひどい。
    Alcestaさんはメンズとレディースを良く比較されますけど、両方とも際立っているデザイナーっていないですよね。
    やっぱり性によって、着たい服と着せたい服(作りたい服)という、アプローチの仕方が変わってくるのでしょう。

  12. ちょっとコメント長くてすいません。

    品質を落とすというと、意味は違ってしまいますが、ジュンヤの元発足した新生ギャルソンオムが最初にやったことは、ワーク工場でテーラードJKを作らすことだったんですね。
    当然ボタンもステッチも縫製も落ちました。値段は据え置きでしたが(苦笑) ただそれをワーク工場で作成した味と捉えられるかどうかという部分もあったと思います。特有のステッチのヨレをデザインにまで昇華しているとは思ったので、品質が落ちていてもデザインが好きな人には受け入れられたはずです。ただそれまでオムに持っていた上質さ…というイメージは失われてしまった気がします…。

    メンズ、レディース、共に素晴らしいデザインを残してこそ、一流のデザイナーなのではないかと思うのですが…それはハードル高すぎますかね(笑)

  13. ひっぽのアバター
    ひっぽ

    読売にインタビュー載りましたね。
    http://www.yomiuri.co.jp/komachi/beauty/fashion/20060106ok05.htm
    みてくれはアパレルの第一線な人にみえません。

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