オートクチュールの衰退は今に言われたことではなく、もう随分前から危機を叫ばれている。
今シーズンからアルマーニが参加したという朗報はあるものの、サンローランが去り、森英恵が去り、減り続ける一方だ。
現在の正会員はたったの11メゾン。
シャネル
クリスチャン・ディオール
ジヴァンシー
ジャン・ポール・ゴルチエ
クリスチャン・ラクロワ
ドミニク・シロ
エマニュエル・ウンガロ
ジャン・ルイ・シェレル
フランク・ソルビエ
アンドリーヌ・アンドレ
あと1メゾンは失念。
他協力メンバーとして前述のアルマーニ、ヴァレンティノ等が入る。
山本耀司がクチュールコレクション前日にショーを行っていたが、あれは彼の「既製服命」のポリシーによる反抗的パフォーマンスである。
それも、もうしていない。
ヴィクター&ロルフはクチュールコレクションから始めたが、一人のモデルに次々と服を重ねていくという、独創的な発想の服を発表し(FirstVIEW参照)注目を集めた。
クチュールで評価を確立し、プレタに移るという離れ業ではあるが、参加者が少なく、発表すること自体で注目を浴びるというクチュールから始めたのは戦略的であったと言える。
(いわばクチュールを利用したといえるが、彼らにそれだけの力量があったのも確かである)
話題にはなるものの、これらのケースはクチュールを盛り返す事にはつながっていない。
主流はプレタポルテに完全に移っており、今更オートクチュールが復活する見込みは無い。
残念ながら、すでに生命維持装置で辛うじて生きながらえている状態に過ぎないと言えるだろう。
文化や技術としては貴重なものであり、それは今後も細々と伝えられていくかもしれないが、世の中は必要としていないという、さびしい現実である。
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以下は薀蓄的メモ書き。
1858年にシャルル・フレデリック・ウォルト(英名チャールズ・フレデリック・ワース)がメゾンを開き、コレクションというイベントを始めることでオートクチュールはスタートした。
プレタポルテという言葉は1949年に大手既製服メーカーが初めて使用した。
コレクションの服は
昼服
スーツ
コート
アフタヌーンドレス
イヴニングドレス
ボールガウン
マリエ
の順に登場する。
参考資料:
「ファッションとグローバルスタンダード(1)」(PDF・HTML)
「ファッションとグローバルスタンダード(2)」(PDF・HTML)
共に塚田明子・著
↑勉強になります。皆さん読みましょう。
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